『日本沈没』最終回は常盤統一郎が鍵を握る? 「希望のひと」という副題が意味すること

 さて、日本政府与党の方針が固まり、移民の受け入れ先も決まりだしたことで、本当の意味での第2章がこれから始まる展開なのだが、残念なことに今夜の放送が最終回。とはいえ、2時間3分という映画1本分の放送時間が用意されているだけに、凝縮された内容が期待できる。

 まず最終回のポイントだが、ただでさえ問題が山積みなのに、予告編を見ると、新型コロナウイルスのような感染症が世界を襲い、各国が移民の受け入れを停止する展開に。現代社会を描くなら無視できない問題であり、当然ながら原作にはなく先が読めないからこそ興味深い。もし移民再開の切り札を考えるならば、ワクチンを開発することだろう。そこで経産省の官僚・常盤紘一(松山ケンイチ)の父・常盤統一郎(小野武彦)が、常盤医療を含めた「常盤ホールディングス」の会長であり、すでに天海の熱意により移民計画に賛同していただけに、物語の一番の鍵となると予想される。

 そして国民への説得。4割近くが移民を希望しないというリアルな数字が出ていて、予告でも天海の母・佳恵(風吹ジュン)が「死んでもここを離れる気はねえだよ」と言うように、実際の沈没を目の当たりにしなければ、他国へ行くという選択は確かに難しく、前回のラストで総理が爆破テロの被害を受け不在となった今、誰が説得していくのかが焦点となる。

 原作では日本は沈没するのだが、2006年版の映画では主人公が犠牲となって地殻変動を収束させた。今作も「希望のひと」という副題が付いているだけに、絶望的なエンディングは避けるのではないかと考える。「希望のひと」は、天海を中心とした日本未来推進会議のメンバーだと思うし、生きる希望を捨てない日本国民を指しているとも言える。綺麗事で言うなら、最後まで日本に残って指揮にあたるのが美徳だろうが、日本の未来を考えるならば、犠牲になることは希望ではなく、移民となる日本人を未来に向かって導く者こそが「希望のひと」だろう。

 ちなみに原作でも登場している田所博士は、原作では最後まで日本に残り、総理にこれからを託して日本と心中をしたが、今作の教授は、東日本大震災を経験して、国民のために警笛を鳴らし続けてきたので、彼もまた最後まで命は投げ出さず研究し続けると考える。もしかすると新しい大陸を発見する“ウルトラC”を見せるかもしれない、それも一つの希望。いずれにしろ、家族や大切な人と過ごせる尊さに気づかせる、希望にあふれたエンディングになるはず。日本が沈没しなければ一番良いのだが、どんな未来をドラマは描くのだろうか。

■放送情報
日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』
出演:小栗旬、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、中村アン、高橋努、浜田学、河井青葉、六角慎司、山岸門人、竹井亮介、高野ゆらこ、与田祐希(乃木坂46)、國村隼、小林隆、伊集院光、風吹ジュン、比嘉愛未、宮崎美子、吉田鋼太郎(特別出演)、杉本哲太、風間杜夫、石橋蓮司、仲村トオル、香川照之
ナレーション:ホラン千秋
原作:小松左京『日本沈没』
脚本:橋本裕志
プロデュース:東仲恵吾
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/nihon_chinbotsu_tbs/
公式Twitter:@NCkibou_tbs
公式Instagram:nckibou_tbs

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