『未来世紀SHIBUYA』に見る配信ドラマの可能性 白石晃士節全開の社会風刺に注目

 未来の東京はどうなっているのだろうか。幼い頃に思い描いた未来は、“都合の良い”テクノロジーとの共存を夢見ていた。では、今から15年後の2036年は? その答えはここにある。

 11月26日に白石晃士監督作品『未来世紀SHIBUYA』がHuluで全6話一挙配信となった。本作は2036年の渋谷を舞台に、WeTuberと呼ばれる動画配信者のふたりの青年がとある事件に巻き込まれていく様子が描かれる。現在よりさらにデジタル化が進んだ渋谷で、ディストピアと化したエリア・裏渋谷を舞台に動画を配信する様は、底抜けに明るい彼らの存在とは裏腹にどこか奇妙なスリルさえ感じられた。監督を務める白石が見る独自の視点からの「未来の渋谷」はもちろん、仕掛けられた強烈な社会風刺にも注目したい作品である。

  本作の魅力はやはり、ドラマ作品でありながらライブ感が重視されるウィットに富んだ演出だ。本作をリードするWeTuberコンビ「正義マン」のミツル(金子大地)とカケル(醍醐⻁汰朗)は本作の独特な空気感を担う存在。裏渋谷の抱える問題とあまりに対照的な明るさと無邪気さが作品のコメディとしての本質を引き出している。ともすれば空元気にも見えてしまいそうなシーンさえ、動画を配信している“元気な青年たち”を全うする彼らの姿は生々しいほどにリアルで、同時にどこかシュールで笑える掛け合いが光る。

 彼らのコミカルな芝居は、現代のソーシャルメディアで活躍するインフルエンサーたち特有のハツラツとした勢いを感じ、ついつい観続けてしまう魅力がある。テレビとはまた異なる親近感のある言葉遣いや、良くも悪くも気遣いのないリアクションがそれを強調するのだろう。このノリがあるからこそ、我々は夜な夜なネットサーフィンしてしまうように本作に一気にのめり込む。まさに“バカパワー”全開の芝居がアツい作品だ。

 さらに本作はヴィジュアル面での工夫も光る。WeTuberたちに象徴的なのが、まるでアニメーション作品のように個性的な衣装や髪型だ。これは現在活躍中の人気動画配信者たちが派手な色をまとっていることにも共通し、彼らの仕事が既存の社会規範に囚われない存在/働き方であることも同時に見て取れる。中でも「正義マン」の憧れであるカリスマWeTuberのキリタ(藤森慎吾)とアコ(Hina)はこうしたWeTuberの個性が光る重要なキャラクターだ。同じWetuberでありながらキリタはカリスマという“選ばれし存在”でもある。風格を感じさせ、かなり個性的な言葉遣いをして突き抜けた衣装をまとう。藤森演じるキリタの独特なセリフや衣装にはぜひとも注目してもらいたい。

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