『おかえりモネ』亮を追い続けた未知 時間とともに変化していった恋の形

 正直、亮には全てのことを忘れさせてくれるような女の子が合うと思う。未知は、痛みに寄り添うことはできるかもしれないが、その痛みをどこかに飛ばしてあげることはできない。それに未知だって、知らない世界をたくさん見た方がいい。東京に行くかはさておき、地元に縛られて疎かにしていた“自分”と向き合うべきだ。未知がきちんと自立した上で、それでもまだ想いがあるのなら、2人の恋は上手く行くような気がする。

 ただ、何年も想い続けていると「もったいない」という気持ちが芽生えてしまうかもしれない。とくに未知は、学校を決める時も、就職を決める時も、亮のことが浮かんでいたはずだ。水産高校に入ったのは家業を継ぐから……という想いもあったのかもしれないが、あんなに研究を頑張れたのは「亮と分かり合いたい」という気持ちが大きかったのではないだろうか。

 だからこそ、亮を失うことが怖いだろう。彼の気持ちを確かめて、もしも振られてしまったら。自分が選択してきた、すべてを否定してしまうような気持ちになるかもしれないという恐怖。けれど、どんなに怖くてもきちんと確かめなければ何も始まらない。第106話、ついに未知は亮に電話をかけ「漁から帰ってきたら話しがしたい」と一歩を踏み出した。

 しかし、震災で母・美波(坂井真紀)が亡くなり、父・新次(浅野忠信)が自暴自棄になった姿を見ている亮は、“大切な存在を作ること”への怖さを感じている。クリスマスイブの夜に2人きりで会い、初詣にも未知を誘った亮。未知に対する気持ちは0ではないように思うが、どの選択をするのだろう。自分を閉じ込めている分厚い殻を、破ることはできるのだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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