『おかえりモネ』亮を追い続けた未知 時間とともに変化していった恋の形

 クリスマスイブの夜に、とびきりのお洒落をして会い、2人きりでお酒を飲む……それでも、未知(蒔田彩珠)と亮(永瀬廉)は“恋人”ではない。しかし、『おかえりモネ』(NHK総合)第22週「嵐の気仙沼」では、ずっと曖昧になっていた2人の関係にピリオドがつきそうだ。未知の恋が実るのか、終わってしまうかは分からない。ただ、ひとつ言えるのは、亮の選択で未知の人生が大きく変わるということ。

 “自分軸”で生きる姉・百音(清原果耶)に比べて、他者を軸に置いている未知。百音は、恋人の菅波(坂口健太郎)と遠距離になっても、自己実現のために地元に帰ってきたが、未知は「亮くんのことがハッキリしないと、何も決められない」と言う。おそらく彼女のなかで、亮への淡い恋心は“執着”へと変化しているのではないだろうか。

 未知の同世代のメンバーのなかで、最初から地元に残る選択をしたのは、亮だけだった。都会に出たことがない2人だからこそ、分かり合えることも多かったのだろう。けれど、どうしても視野が狭くなってしまうのは否めない。未知は亮との恋を実らせることで、“地元に残った自分”を肯定できると思っているように見える。

 思えば、未知はずっと、姉である百音にコンプレックスを抱いてきた。家業を継ぐ重圧もなく、自由に都会に出て、華やかな世界で活躍していた姉。対して自分は、東京の大学からのスカウトが来ても、上京に躊躇してしまう。未知が何かを選ぶためには、捨てなければならないものが多すぎるからだ。東京に行くことになったら、祖父の仕事を継ぐ人がいなくなってしまう(家族は、自由にして欲しいと思っているのだろうが)。近くにいるからこそ繋がれていた亮との細い糸も、簡単に途切れてしまうかもしれない。

 まだ始まってもいない恋と、夢を天秤にかけるなんて……という意見も多く見られるが、未知はまだ22歳。彼から離れたくない思いも、痛いほど分かる。ただ、もし亮と結ばれたとして、彼女の想いは報われるのだろうか。2人は、幸せになれるのだろうか?

関連記事