『ドラゴン桜』“秘密兵器”細田佳央太の能力が開花 受験ドラマに登場する天才キャラの意味

 受験セオリーを打ち破る天才は決して完璧な人間ではない。健太の能力は欠点の裏返しで、命を慈しむ優しさは自らの行く手を遮る壁にもなる。天才と秀才の対決に注目が集まり、勉強を楽しむことを訴えた第5話は、ともに挑戦する仲間の尊さを伝えていたように思う。そのことは藤井の姿から逆説的に描かれていた。藤井の敗因を桜木は「生徒をたった1人で戦わせたこと」と分析。仲間との切磋琢磨が力を伸ばし、本番で孤立感が解消される。反対に1人では伸びる能力も伸びないで終わってしまう。当たり前のようだが、一言で成績が悪いと言ってもそこには様々なタイプがいて、成績が悪い理由も人それぞれであることに気付かされる。個性を伸ばす教育の難しさも感じた。個性を尊重することはスタートラインにすぎず、そこからどのように才能を育んでいくかが大事だ。

 第5話を振り返ると、桜木の目的は健太の才能をプレゼンし、東大受験を決意させることにあったが、藤井を東大専科に引き入れること(「負けたら専科の合宿に参加しろ」)にもあった。ひねくれ者の藤井にはルールにのっとって負けを認めさせ、足りないものを気付かせる必要がある。健太もそうだが、藤井のことをずっと気にかけている桜木はなかなか辛抱強い。進学を志望しない麻里は気がかりだが、久美子(江口のりこ)も桜木の考えを理解し、学園内のバトルが片付いたところで、ひたひたと忍び寄る元教え子の影。折り返し地点に差しかかった『ドラゴン桜』。ここから東大受験まで一気に駆け上がるか。

細田佳央太がリアルな高校生活を振り返る! 『ドラゴン桜』原健太からメッセージ

※高橋海人の「高」は「ハシゴダカ」が正式表記。
※鶴ヶ崎好昭の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
日曜劇場『ドラゴン桜』
TBS系にて、毎週日曜21:00~放送
出演:阿部寛、長澤まさみ、高橋海人(King & Prince)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太、西山潤、西垣匠、吉田美月喜、内村遥、山田キヌヲ、ケン(水玉れっぷう隊)、鶴ヶ崎好昭、駿河太郎、馬渕英里何、大幡しえり、深田竜生(少年忍者/ジャニーズJr.)、林遣都、佐野勇斗、早霧せいな、山崎銀之丞、木場勝己、江口のりこ、及川光博ほか
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(講談社刊)
プロデュース:飯田和孝、黎景怡
脚本:オークラ、李正美
演出:福澤克雄ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

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