『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に影響を与えたバディ映画 共通項と2人の関係性

 3月19日からディズニープラスで配信が始まった『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は、『ワンダヴィジョン』につづくMCUドラマ第2弾だ。スティーブ・ロジャースが去った後、彼から後継者として指名されていたにもかかわらず、盾を政府に返還してしまったファルコンことサム・ウィルソン。そしてスティーブの親友であり、暗殺者ウィンター・ソルジャーとしての洗脳が解けたバッキー・バーンズ。この2人が新たな脅威に立ち向かう。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー | ファイナル予告編

 『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は、“バディもの”としてMCUの魅力をさらに引き出していくだろう。いまのところサムとバッキーは、スティーブを挟んだ「友達の友達」という微妙な関係だが、彼らは今後どのように信頼関係を築き、相棒=バディとなっていくのだろうか。今回は、本作の監督や脚本家がインスピレーション源となったと明かしているバディ映画をいくつか取り上げながら、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』とのつながりを紐解いていきたい。

『48時間』『リーサル・ウェポン』の凸凹コンビ感

 正反対の性格の2人がいやいやながらもコンビを組み、次第に信頼と絆を育んでいくというのは、バディ映画の定番だ。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の脚本を務めるマルコム・スペルマンは、本作を執筆するにあたって影響を受けた作品として、1982年の映画『48時間』を挙げている。ニック・ノルティ演じる刑事ジャックと、エディ・マーフィ演じる囚人のレジー。2人はレジーの元強盗仲間が脱獄したことから、彼を捕まえるために48時間限定でコンビを組むことになる。ジャックは敏腕ではあるがかなり型破りな人物だ。はみ出し者同士の2人は、反発し合いながらも少しずつ息の合ったコンビネーションを見せるようになる。いまのところサムとバッキーは信頼し合っているとは言い難い関係だが、どんなきっかけから変わっていくのだろうか。

 またバディものの作品では、若者とベテラン刑事という年の差コンビが組まれる傾向がある。そうすることで2人の性格の違いだけでなく、ジェネレーション・ギャップによる可笑しさを生み出すことができるのだ。『48時間』の2人もかなり年の差があるし、『リーサル・ウェポン』(1987年)でメル・ギブソンが演じたリッグスはおそらく30代、ダニー・グローヴァー演じるマータフは50代だ。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』でも、バッキーが100歳を越えていることが時折ジョークとして挟まれる。スティーブは冷凍されていた間の歴史や文化を学ぼうと努力していたが、バッキーにはあまりその気はないようだ。そうした2人の間のギャップは今後も埋まることはないかもしれない。しかしそこが本作の面白味になってくるだろう。

『バッド・ボーイズ』の舌戦と相棒との共通点の少なさ

 バディもののアクション映画シリーズとしてよく知られている『バッド・ボーイズ』も、やはり本作に影響を与えた作品として挙げられている。同作でウィル・スミス演じるマイクと、マーティン・ローレンス演じるマーカスは長年タッグを組み、仕事上の相棒であり親友、家族ぐるみの付き合いだ。そんな気心の知れた2人は、しょっちゅう口げんかをする。サムとバッキーも、なにかといえば反発し合い舌戦を繰り広げるのだ。しかしそれはやはり口げんかのレベルであり、彼らにとって今はそれが最大限のコミュニケーションなのだろう。

 また『バッド・ボーイズ』では独身のマイクと妻子持ちのマーカスの間に、仕事に対する考え方ややり方の違いがある。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のサムには、姉とその子どもたちという守るべき存在がある。一方でバッキーは独りきりだ。彼の境遇はかなり重いものだが、身軽といえば身軽ではあるだろう。相棒との仕事以外での共通点の少なさも、バディものでは面白さを生み出す。サムとバッキーの共通点は、ほぼスティーブだけと言っていい。