『君と世界が終わる日に』は予想を上回る本格仕様! 地上波ドラマのゾンビ描写を大幅更新

 非常事態に置かれるとその人の本質が表れると言うが、ちょっとした違いが、この先、各自の生死にも影響すると思われる。その点で言うと、10人の中でも生き延びる可能性が低そうな佳奈恵に感情移入してしまった。逃げ回ることに疲れて「もう楽にさせて」と頼む佳奈恵は、より視聴者に近いキャラクターだ。佳奈恵や結月が生き残れるかどうかが、サバイバルドラマとしての本作の鍵を握っている。

 ラブストーリーとしては、第1話のラストで今後の展開に希望が託された。絶望的な状況を経験したからこそ、生きていることの重みが伝わってくる。かつてなく命が危機にさらされている昨今、響の安堵は他人事とは思えなかった。またゾンビドラマという点では、頭を潰すと動きが止まる相手に弓道やテコンドーで戦うのは日本ならでは。竹内涼真とキム・ジェヒョンのアクションシーンも見どころになりそうだ。

 タイトルは「『君と世界』が終わる日」と「『君』と世界が終わる日」のどちらにも読める。このまま世界が終わってしまうのか、愛する人と再会できるかは現時点でまったく未確定。それでも生きていくために必要なのは諦めないことで、シンプルだが案外効果を発揮することを、2021年を生きている私たちは知っている。

 第1話で印象に残ったセリフは「メシは生きる基本ですよ」。響のタフネスは食べることから来ている。画面越しにさえ食欲がなくなりかけた「逆飯テロ」ドラマで、ゾンビと対面した後でも平然と食事をする響に感心した。食べることは生きる意思そのものだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『君と世界が終わる日に』
Season1(全10話):日本テレビ系にて毎週日曜22:30〜放送
Season2(全6話):Huluにて、3月配信開始
出演:竹内涼真、中条あやみ、笠松将、飯豊まりえ、大谷亮平、笹野高史、マキタスポーツ、安藤玉恵、横溝菜帆、鈴之助、キム・ジェヒョン、滝藤賢一
脚本:池田奈津子
音楽:Slavomir Kowalewski A-bee
主題歌:菅田将暉「星を仰ぐ」(Sony Music Labels Inc.)
制作:福士睦、長澤一史
チーフプロデューサー:加藤正俊、茶ノ前香
プロデューサー:鈴木亜希乃、鬼頭直孝、伊藤裕史
協力プロデューサー:白石香織
演出:菅原伸太郎、中茎強、久保田充
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ、HJ Holdings,Inc.
(c)日本テレビ
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