『麒麟がくる』信長と義昭は水と油のような存在? 滝藤賢一が「この手、離さぬぞ」と懇願

 ついに15代将軍の座に就いた義昭(滝藤賢一)だが、瞬く間に「本圀寺の変」が起こり命を狙われる。そこで手を差し伸べたのもまた、信長(染谷将太)だった。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』第28回「新しき幕府」では、義昭が切に願う“穏やかな都”を作るために動き出す様子が描かれる。

 芥川城では敗れた三好方の大名や武将たちの今後の扱いを巡って話し合いが行われるが、松永久秀(吉田鋼太郎)の処遇について意見が割れる。紛糾する場を収めたのは義昭だった。信長の尽力のお蔭で上洛を果たし、三好の拠点・芥川城を陥落できたのだから、信長が久秀を受け入れようとするのならそうしたいと幕臣たちを納得させた。義昭は、他の大名らの協力が得られない中で上洛に名乗りを上げてくれた信長を、自分よりも年下にもかかわらず「兄とも父とも思っている」と心底慕っていたのだ。

 そして義昭は幕府を早急に立て直すため、実務を摂津晴門(片岡鶴太郎)に任せたいと願い出る。しかし摂津には、政所の頭人であるにもかかわらず義輝(向井理)の命を守り切れなかったという経緯があり、細川藤孝(眞島秀和)と光秀(長谷川博己)はこれを好ましく思わなかった。そうこうするうち、義昭は正式に15代将軍となり、信長は美濃に戻ってしまう。しかし3カ月も経たない内に「本圀寺の変」が起き、三好勢に攻め入られてしまった。このような事態になり摂津だけでは義昭を守り切れないと考えた信長は、将軍家御座所として新たな城を作るよう命じ、自らも建設に向けての陣頭指揮を執る。

 第28回では、義昭がどれほど信長を慕っているのかがはっきりと描かれる。信長の姿を見つけると大きな目を輝かせ嬉しそうな表情を浮かべる義昭からは、信長への敬愛の念が強く伝わってきた。さらに義昭は、光秀と共に“穏やかな都”を作りたいという義昭らしい願いも口にした。義昭にとって“穏やかな都”は、父の願いでもあり、兄・義輝の願いでもあった。今回ははっきりと明言されなかったものの、これこそが光秀と通ずる「麒麟が来る世」の思想ではないかと感じさせる。光秀もまた、足利家に受け継がれるこの考え方に強く共感しており、義昭に使えているのもこうした考え方の一致が何よりの理由であろう。しかし信長はどうだろうか。

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