『竜の道』王道の復讐劇に見入ってしまう理由 カンテレ制作ドラマの傾向から探る

 現在放送中の『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)は、玉木宏と高橋一生演じる双子の兄弟、竜一と竜二の仇討ちを描く復讐劇。物語はいよいよ佳境に入り、2人は両親の敵である霧島源平(遠藤憲一)を決死の覚悟で追い詰める。

 コロナ禍の放送延期もあって、放送前は比較的地味な扱いを受けていた『竜の道』だが、華やかさと実力を兼ね備えたキャスティングも手伝って、ここに来てじわじわと注目を集めている。その理由を、関西テレビ(カンテレ)制作の火曜21時枠のドラマ(火9)の作品傾向から探ってみたい。

 『竜の道』が放送される火9は、改編前の火曜22時枠を含むカンテレが制作を担当してきた。厳密には制作会社との共同制作を含むが、同枠では伝統的に刑事ドラマやサスペンスが取り上げられることが多かった。その中には「復讐」をテーマにした作品も含まれる。草なぎ剛主演の「復讐シリーズ」が話題になったことは記憶に新しい。

 近年は恋愛ものやコメディ、ヒューマンドラマなど多彩なジャンルの作品を送り出しており、一口に刑事もの・サスペンス枠としてくくることは難しいが、同枠には、ジャンルを問わず、エモーショナルで骨太なストーリーという共通点がある。

 たとえば、2019年4月期の『パーフェクトワールド』は、主人公のつぐみ(山本美月)と障害を持つ樹(松坂桃李)のラブストーリーだが、2人が結ばれる過程では、家族の反対や恋敵の存在など、いくつもの試練が立ちはだかった。また、2020年1月期の『10の秘密』は、向井理演じるシングルファーザーの主人公・白河が、娘の誘拐をきっかけに元妻の由貴子(仲間由紀恵)や周囲の人々の秘密を知る内容。一見すると複雑なストーリーのようだが、過去の恩讐によって動機付けられる登場人物や、白河の父としての葛藤に物語の軸が置かれていた。

 古今東西のドラマは、ストーリーを通じた人物の成長や感情の変化を描いてきた。カンテレ制作の火9は、まさにドラマの王道展開と言える。もう一点、忘れてはならないのは、同枠が韓国ドラマのリメイクに取り組んできたこと。改編前の『グッドライフ〜ありがとう、パパ。さよなら〜』(2011年4月期)や『銭の戦争』(2015年1月期)にはじまり、『シグナル 長期未解決事件捜査班』(2018年4月期)や『TWO WEEKS』(2019年7月期)を送り出してきた。エモーショナルで骨太という特徴は韓国ドラマにも当てはまる。

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