『私の家政夫ナギサさん』は日本版『マイ・インターン』? 相原メイが置かれた板挟みの状況

 本作を観ていると、映画『マイ・インターン』を思い出す。出会うはずのなかった赤の他人同士の2人が出会い、歳の差こそあれ互いへの敬意を抱き、程よい距離感を保ちながらも対等な立場を築いていく。異なる互いの経験をシェアして刺激を与え合える貴重な存在。生活の一部を、取り繕った外向きの自分ではないオフモードの自分も見せられる、そんな存在がいることが、いかに人生を豊かにしてくれる心強い存在か。

 一番の味方でいてくれて、自分の成功を一緒になって喜んでくれる。そんな固い絆で結ばれている「信頼関係」があると思っていたのに。第6話では一番近くで応援してくれると思っていたナギサさんが、なぜか新プロジェクトに邁進する自分に対してセーブばかりかけてきて乗り気ではなさそうな様子にメイは不満を抱く。

 ナギサさんもかつて救えなかった大切な誰かとメイを重ね合わせているようだが、家政夫と雇い主という意味での「程よい距離感」とは言えなくなってきている2人が、これから自分たちの関係性をどう定義づけ、その中での「適性距離」をどうやって獲得していくのか。通常の恋愛よりもハードルのある、接客業における「お客様」と「サービス提供者」という2人の関係性の変化を、節度ある2人の大人の恋愛模様を見守っていきたい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜放送
出演:多部未華子、瀬戸康史、眞栄田郷敦、高橋メアリージュン、宮尾俊太郎、平山祐介、水澤紳吾、岡部大(ハナコ)、若月佑美、飯尾和樹(ずん)、夏子、富田靖子、草刈民代、趣里、大森南朋
原作:『家政夫のナギサさん』(四ツ原フリコ著/ソルマーレ編集部)
脚本:徳尾浩司
演出:坪井敏雄、山本剛義
プロデューサー:岩崎愛奈(TBSスパークル)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
(c)四ツ原フリコ/ソルマーレ編集部

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