趣里、『私の家政夫ナギサさん』のキーパーソンに 多部未華子の妹役として放つ存在感
火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)の第2話が7月14日に放送される。本作は、電子書籍サイト「コミックシーモア」発の同名オリジナルコミック(著者:四ツ原フリコ)が原作で、大手製薬会社で優秀なMRとして働いているが、家事はからきし苦手な独身女性のメイ(多部未華子)と、突然現れた“おじさん”家政夫のナギサさん(大森南朋)が織りなすハートフルラブコメディだ。
第1話の放送では、メイとナギサさんに加え、爽やかなライバル会社のMR・田所(瀬戸康史)や、メイの同僚で親友の薫(高橋メアリージュン)、頼りない後輩の新入社員・瀬川(眞栄田郷敦)など、個性豊かなキャラクターが登場した。
中でも、重要な役割を果たしたのがメイの妹・唯。彼女は荒れ放題なメイの生活を見兼ねて、勤めている家事代行サービス業者「NTSクリーンハウス」の同僚であるナギサさんを送り込み、2人の出会いのきっかけをつくった。そんな唯役を務めるのは、俳優の水谷豊と伊藤蘭を両親に持ち、2011年に『3年B組金八先生ファイナル~「最後の贈る言葉」4時間SP』(TBS系)で女優デビューを果たした趣里。
当時の彼女は20歳、5歳下の中学生役だったにもかかわらずオーディションに合格し、金八先生(武田鉄矢)に恋する女子生徒役を可愛らしく好演した。彼女は元々バレエダンサーを目指し、15歳でイギリスに単身バレエ留学するも、ジャンプの着地失敗による怪我で夢を断念。帰国後、舞台演劇や映画などに触れたり、故・塩屋俊主宰の演劇学校でレッスンを受けたことにより、女優の道を目指すことになったという。
両親の知名度故に“二世女優”と呼ばれることのプレッシャーもあっただろうが、彼女は華奢ながら意思が強そうな目や、色気のあるハスキーボイスで独特な存在感を放つ。映画初主演となった『おとぎ話みたい』では、根拠のない自信に満ち溢れた少女特有の演技が定評を呼び、「MOOSIC LAB 2013」最優秀女優賞を受賞。同作の挿入歌「COSMOS」(おとぎ話)のMVにも出演し、バレエの経験を活かして軽やかなダンスを披露。泣いていた女の子がMV後半、銀座の真ん中で堂々と踊り出す姿は、夢敗れてもなお新たな世界で輝く趣里自身の姿にも重なる。
そして、特に趣里の演技力が世に広まったのは、26歳の時に出演した『リバース』(TBS系)だろう。三浦貴大演じる村井隆明の妻・香織を演じた彼女は、不倫を続ける夫に対して激怒し、最終的に監禁するという狂気的な演技で強烈な印象を残した。それまでは舞台を中心に活躍していた趣里だったが、同作をきっかけに映像作品でも注目を浴びるようになる。2018年は『ブラックペアン』(TBS系)で二宮和也の右腕、通称“ねこちゃん”を熱演し、ミステリアスな演技で個性派俳優としての片鱗を見せた。他にも『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)や『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)などに出演。中でも映画『生きてるだけで、愛』にて、痛々しいほどに不器用な躁うつ病の主人公・寧子役を務めた彼女の演技は見張るものがあり、喪失・絶望・喜び……様々な感情が入り混じったラストのダンスシーンはあまりにも美しくて目が離せなかった。