浜辺美波、2020年は映画にドラマに主演ラッシュ 「東宝シンデレラ」出身女優の流れを継承?

 東宝シンデレラオーディションと言えば、1984年に開催された第1回の沢口靖子をはじめ、野波麻帆(第4回)、長澤まさみ(第5回)、上白石萌歌(第7回)、福本莉子(第8回)というメンバーがグランプリを受賞している。グランプリ以外にも、審査員特別賞として、水野真紀(第2回)、上白石萌音・山崎紘菜(第7回)などがいる。

  沢口と言えば『科捜研の女』(テレビ朝日系)という大ヒットシリーズが20年にも渡り続いており、信念を貫く法医学研究員・榊マリコのイメージが強いが、しっとりとした役からコミカルな役まで幅広いキャラクターを演じてきた大ベテランだ。長澤も、デビュー当時は王道ヒロイン的なキャラクターが多かったが、近年は『モテキ』(2011年)でのエロ可愛い役から、ミュージカル『キャバレー』(2017年)での妖艶な役、『コンフィデンスマンJP』シリーズでのぶっ飛んだコミカルな役、そして『MOTHER マザー』(2020年)の陰鬱な役などふり幅の大きな演技を見せている。

 上白石萌歌も、ドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)で印象的な演技を見せると、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK総合)と話題作に出演。さらにドラマ『ファーストラヴ』(NHK総合)では、父親殺しの容疑者の大学生という難役を見事にこなし演技力の高さを見せつけた。やや影のある役が多い萌歌だが、舞台『続・時をかける少女』では、コメディエンヌとしての素質も垣間見せた。

 萌歌の姉・萌音も、健気で一生懸命というパブリックイメージに近い役を演じつつ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)では、コミカルな演技も加わり、多くの視聴者の共感性を生んだ。

 前述したように、浜辺は10代であるにも関わらず、すでに役柄のレンジは広く「東宝シンデレラ」出身の人気女優たちの流れを継承しているように感じられる。2018年3月に日比谷シャンテ前で新・ゴジラ像除幕式が行われたが、その際の式典には、島谷能成東宝社長、チーフゴジラオフィサーの太田圭二氏、沢口と共に浜辺も出席していた。沢口と言えば1984年公開の映画『ゴジラ』に出演していたが、『ゴジラ』に縁のない浜辺が出席したことを見ても、東宝の期待が伺えた。

 作り手は、当たり役に似たキャラクターをオファーするという安全作もあるが、芝居ができると思う俳優には「新たな一面を出したい」と意欲的な役柄に挑戦させようと思う人も多い。その意味で、レンジの広い役を思い切りよく自身の手の内に入れる浜辺には、今後もさまざまな役柄が舞い込むだろう。

■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

■公開情報
『思い、思われ、ふり、ふられ』
8月14日(金)全国公開
出演:浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二
原作:咲坂伊緒『思い、思われ、ふり、ふられ』(集英社『別冊マーガレット』連載)
監督:三木孝浩
脚本:米内山陽子、三木孝浩
配給:東宝
(c)2020映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (c)咲坂伊緒/集英社
公式サイト:https://furifura-movie.jp/

■放送情報
『私たちはどうかしている』
日本テレビ系にて、今夏スタート 毎週水曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、横浜流星、高杉真宙、岸井ゆきの、和田聰宏、岡部たかし、前原滉、草野大成、山崎育三郎、須藤理彩、中村ゆり、鈴木伸之、佐野史郎、観月ありさ
原作:安藤なつみ『私たちはどうかしている』(講談社『BE・LOVE』連載)
脚本:衛藤凛
演出:小室直子、猪股隆一
音楽:出羽良彰
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:www.ntv.co.jp/watadou
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