『M』『99.9』『逃げ恥』『アシガール』 ドラマ放送延期に対応する、各局の+αの試みを振り返る

ドラマの成立過程を追体験する『99.9』

 『半沢直樹』(TBS系)の放送延期にともない、伝統枠の日曜劇場でも過去作の再放送が行われている。未放送カットを加えた『ノーサイド・ゲーム 特別編』(TBS系)は大泉洋が新たにナレーションを担当し、5夜にわたって放送。『99.9−刑事専門弁護士−SEASON I 特別編』(TBS系)では、第一夜で松本潤、香川照之、榮倉奈々の3人によるオーディオコメンタリーを副音声で放送した。松本演じる深山大翔のダジャレを連発するキャラを筆頭に、随所に小ネタが散りばめられた『99.9』の独特な世界観が作り上げられる過程を追体験することで、同作のユニークさが浮かび上がった。

『99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅰ』(c)TBS

 TBSでは2016年の放送の『逃げるは恥だが役に立つ』を再編集した『ムズキュン!特別編』も放送中。森山みくり(新垣結衣)と津崎平匡(星野源)の両家対面や、津崎の同僚を招いての食事シーンをはじめ、細かいセリフやカットが多数追加され、ネット上には各話の未公開カットを網羅する熱心なファンも出現した。エンディングでは新たにリモート恋ダンスを公開。第4話では真野恵里菜がはるばるスペインからリモートでダンスを披露してタイムラインを沸かせた。みんなで盛り上がれてマニアックなファンも満足させる間口の広さを再認識した。

『逃げるは恥だが役に立つムズキュン!特別編』(c)TBS

 この他に、再放送作品では『アシガール』(NHK総合)で、ドラマプレゼンターの赤ペン瀧川による見どころ紹介を追加。いずれも再放送にあたって多くの視聴者にリーチするための工夫がされており、その根底には「2020年の今、観るべき作品は何か?」という意識がある。外出自粛下での一連の試みは作品に込められた文脈を掘り起こすとともに、ドラマの新しい楽しみ方を教えてくれる。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『M 愛すべき人がいて』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~24:05放送
ABEMAにて、独占配信
出演:安斉かれん、三浦翔平、白濱亜嵐、田中みな実、高嶋政伸、高橋克典、久保田紗友、河北麻友子、田中道子、市毛良枝、新納慎也、傳彩夏、上野なつひ、水江建太
原作:小松成美『M 愛すべき人がいて』(幻冬舎刊)
脚本:鈴木おさむ
企画:藤田晋(ABEMA)
ゼネラルプロデューサー: 横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)、谷口達彦(ABEMA)、山形亮介(角川大映スタジオ)、佐藤雅彦(角川大映スタジオ)
アソシエイトプロデューサー:川島彩乃(ABEMA)
演出:木下高男、麻生学
主題歌:浜崎あゆみ「M」(avex trax)
制作:テレビ朝日
制作協力:角川大映スタジオ
(c)テレビ朝日/AbemaTV,Inc.

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