『魔進戦隊キラメイジャー』文科系レッドはどのように誕生した? プロデューサーに聞く

キラメイレッドが文科系な理由とは?

――出発点は乗り物で、見せ方としてのキラキラから、人としてのキラキラ→「輝いて生きる」が出てきたわけですね。レッドが5人の中で最後に見つかるのも斬新でしたが、他の4人は、陸上選手、アクション俳優、eスポーツのプレイヤー、女医さんと、それぞれの分野で輝く人たちで。職業のセレクトにも時代性を感じますね。

塚田:できれば全部クリアしたい方程式のようなものがあって。まず、メインのレッドは「持たざる一高校生」で、彼が4人のキラキラした仲間と出会うところからお話が始まるほうが、子どもたちも感情移入しやすいかと。そこから、キラキラした4人のメンバーと同時に「魔進の相棒」も決めていき、持つ武器も決めました。レッドは剣と銃の両方を使うんですが、それ以外の4人は、剣が2人で銃が2人。では、剣を使うキラキラした人は? というところから、今は『刀剣乱舞』なども人気ですから、アクション俳優が良いんじゃないか。銃はいろいろあるけど、ゲームのシューティングも銃だから、eスポーツというのは概念的に新しいよね、と。さらにヒロインの片方は「速」のイメージから陸上選手、もう片方のヒロインは癒しで、医師。テレビ朝日さんなので「失敗しない女医さん」も良いだろうと考えました。

――ピンクはSキャラの気がしていたんですが、そういうことだったんですね(笑)。近年は割合として少なくなっている熱血で真っすぐで猪突猛進型という王道のレッド的性質が、グリーンで、女子だという点も面白いですよね。何より、突出して文科系で、オタクで気弱で妄想力のあるレッドは斬新で。「文科系の体力のなさ、甘く見ないでほしい」というセリフが視聴者から共感を得ていましたが(笑)。

塚田:レッドは「どこがキラキラなんだろう?」から入って、「でも実はすごい」「何がすごいかというと、イメージできること」という流れが面白いと思ったんですよ。レッドはイマジネーションによって絵を描いて、キラメイストーンを魔進に変えられるし、すべての源になる、秘めたる魅力を持った主人公。そのコンセプトをなるべく極端にやっていったら、想定より話題になったというか(笑)。実は、企画会議の段階で「このレッドで、本当に大丈夫?」という心配の声もあったんですよ。

井上:わかりやすい腕力の強さや、人を束ねるリーダーシップが足りないんじゃないのかという声があって。でも、キラメイレッドはすごく意志が強くて、筋の通った人間じゃないですか。僕らから見ても、絶対になれない遠い存在ではなく、「芯の強さを持っていれば強く生きられるかもしれない」と思える、親近感を抱かせるものがあって。

塚田:それに、充瑠(レッド)は、他の4人の良いところを認めて、輝かせていく人。そこが今回のレッドが評価されているところだと思うんですね。例えば、瀬奈(グリーン)に大事な大会があるとき、戦隊の仕事もあるけど、キラキラ輝くためには「そっちの大会を優先しても良いじゃん。俺たち4人がその分支えるから」と言ってあげるんです。否定するのではなく、みんなを認めていくのが今回のレッドの良さで、それがキラキラするということなんじゃないかと。

――先日、『警視庁・捜査一課長』のゼネラルプロデューサー・関拓也さんに取材させていただいたとき、関さんがおっしゃった「一課長の魅力」とも重なってきます! 一課長が「理想の上司」と言われるのも、変わったヤツらの良いところを見つけて、一人ひとりを認めてくれるところですから。

塚田:まさか大岩純一と一緒だったとは(笑)。でも、コロナなど大変な時代だからこそ、一人ひとりの内面や生き方がどうキラキラするかが大切で、その輝きを認めてあげるというのが今の時代にふさわしいかなと思います。

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