医療崩壊の悲劇がコロナ禍の今だからリアルに迫る 『JIN-仁-』一挙放送は『完結編』も見逃せない!

 そして、最終の2話(5月3日(日)放送分)は2シーズンに渡って展開されたこのドラマのクライマックス。龍馬はある人物に額を斬られ絶体絶命のピンチに陥るが、「南方仁がおれば、坂本龍馬は死なん!」と力強く叫ぶ。仁は頭蓋骨を切開しての大手術を施し、なんとか龍馬を救おうとする。だが、仁もタイムスリップ時からの持病である頭痛が激しくなってしまい、自身が脳腫瘍で余命いくばくもないことを悟る。

 これまで「俺はなんのために、この時代へやってきたのか」と数奇な運命の意味を考え続けてきた仁。そこで彼がたどり着いた答えは、死ぬまでに仁友堂の医師たちに伝えうる限りの正しい知識を教えることだった。仁が咲や佐分利たちにそのことを告げる場面が、とても感動的だ。医術の道に殉じようとする仁に、タイムスリップしたときは自分の背負う使命にも医療の腕にも自信が持てずにいた彼が幾多の試練を経て成長した姿を見ることができる。

 最終回では、タイムスリップの謎解きも展開する。仁が江戸時代へ飛ばされたとき、病院に搬送されてきた脳腫瘍のある男は何者だったのか? 彼の頭の中にあった不気味な胎児様腫瘍とは? 仁の恋人だった未来(中谷美紀)と、彼女にそっくりな遊女・野風(中谷2役)の血縁関係は? そして、仁が現代に戻ってしまうと、咲とはもう二度と会えないのか? そんな数々の謎に答えを出しながら原作漫画とは違う展開にし、結末をエモーショナルに盛り上げた脚本・森下佳子の手腕が光る。

 龍馬の「死んでいった者に報いる方法はひとつしかない。『もういっぺん生まれてきたい』。そう思える国にすること」という言葉が重い。現在、パンデミックによって毎日増え続ける死者に対し、生者である私たちは何ができるのか。そう問いかけられている気がする。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
『JIN-仁- レジェンド』
TBS系にて放送 ※一部地域を除く
4月26日(日)14:00~17:00
5月2日(土)14:00~16:54
5月3日(日)14:00~17:00
出演:大沢たかお、綾瀬はるか、小出恵介、桐谷健太、田口浩正、戸田菜穂、武田鉄矢、、中村敦夫、高岡早紀、六平直政、麻生祐未、小日向文世、中谷美紀(特別出演)、内野聖陽
パート2出演:市村正親、佐藤隆太、市川亀治郎、藤本隆宏
原作:村上もとか『JIN-仁-』(集英社『SUPER JUMP』)
脚本:森下佳子
演出:平川雄一朗、山室大輔、那須田淳、川嶋龍太郎
プロデュース:石丸彰彦、津留正明、中井芳彦
製作著作:TBS
(c)TBS

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