『一度死んでみた』インタビュー

広瀬すず、初のコメディ挑戦で感じたこと 「必死な部分が強かったので、遊び心も必要だと思った」

 広瀬すずがコメディに初挑戦した映画『一度死んでみた』が3月20日より公開中だ。ソフトバンク「白戸家」シリーズなどを手がけたCMプランナー/クリエイティブ・ディレクターの澤本嘉光が脚本を担当し、au「三太郎」シリーズなどを手がけるCMディレクターの浜崎慎治が映画初監督を務めた本作。いまだ反抗期継続中のこじらせ女子大生・七瀬(広瀬すず)が、「2日間だけ死んじゃう薬」を飲んで仮死状態になってしまった大嫌いな父親・計(堤真一)を生き返らせようと奮闘する模様が描かれる。

 今回リアルサウンド映画部では、主演を務めた広瀬すずにインタビューを行い、難しかったというコメディ初挑戦の感想や裏側、役作りなどについて語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「本当の自分を見られているような感覚がある」

ーー今回の作品の話が来たとき、率直にどう思いましたか?

広瀬すず(以下、広瀬):コメディをやったことがなかったので、すごく嬉しかったです。しかもまたちょっと特殊なコメディで(笑)。でも、若い女の子が主人公のコメディ作品ってなかなかないので、「おっ!」と思いました。コメディって、男性が主人公の作品が多いじゃないですか。

ーーたしかにそうですね。

広瀬:中心人物が男性で、女性もあまり出てこないイメージがあったので、女の子が主人公のコメディ映画という斬新な設定で、どういう作品になるんだろうと。なかなかイメージしにくくて、バランス感も難しいなとは思いました。しかも、最初に台本を読んだときは、こんなに豪華な方々が出るとは想像もしていなかったので、のちのちキャストの皆さんの名前を聞いたときも驚きました。台本には「製薬会社の社員1」「製薬会社の社員2」「製薬会社の社員3」「製薬会社の社員4」……というふうに書いてあって、なんでこんなに数があるんだろうと気にはなっていたんですけど、誰が演じるかを聞いて、「なるほど!」と(笑)。良くも悪くも“豪華俳優陣の無駄遣い”というのが逆に面白かったです。しかも、遊び心を持ってやってくださる方しかいなかったので、完成した作品を観て、台本とはかなり違う印象を受けました。

ーー本当に豪華な方々がたったワンシーンとかで登場しますよね。

広瀬:現場ではたぶんお会いしているはずなんですけど、「え、古田(新太)さん出てたっけ!?」みたいな(笑)。(池田)エライザちゃんや(佐藤)健さんとはお会いもしていなくて(笑)。本当に贅沢だなと思います。個人的に一番好きな登場の仕方は、真壁(刀義)さんと本間(朋晃)さんのコンビ。「え、ここで!?」みたいな、本当に幅が広いキャスティングだなと思いました。

ーー広瀬さんご自身も、今まで見たことがないようなキャラクターに挑まれています。

広瀬:誰しもがそうだと思うんですけど、自分の中にもガッと感情を剥き出しにしたい瞬間が少なからずあるので、今回の七瀬のような、感情をオープンに出す役をやってみたいなとずっと思っていたんです。なので、ノーストレスでやることができました。

ーーずっとやってみたかったような役柄だったんですね。

広瀬:私自身、口の悪さは七瀬ほどひどくはありませんが(笑)、今まであまり機会がなくて、見せてこられなかったような振り切った役だったので、本当の自分を見られているような感覚があるんです。自分の中にあったものがバレちゃったなと思いました。でも、ここまでひどくないことはちゃんと言っておきたいです(笑)。

ーーそれは重要です(笑)。今まで演じられてきた役は、まっすぐ突き進んでいったり、内面に何かを抱えていたりという役柄が多かったですよね。

広瀬:そうですね。でも、今まで演じてきた役のように、“まっすぐにぶつかっていく!”みたいなカッコよさが自分にあるとは思っていなくて。なので、どちらかと言うと、演じやすいのは今回の七瀬のような吹っ切れたキャラクターだと思っていました。遊び心などいろんなことを交えてお芝居することができるので。だから、どこか猫をかぶるような感覚に近い、他の役のほうが難しいなと思っていたんです。

ーー実際はそうではなかった?

広瀬:はい。実際はすごく難しかったです。リズム、テンポ、間の使い方などが求められる中で、あまりコメディに寄りすぎてしまうと、親子の絆や恋愛的な部分が弱くなってしまう。最初から「笑って泣ける作品にしたい」と聞いていたので、そのバランスをどう取るかは結構考えました。七瀬は父の計(堤真一)に伝える側でしたし、笑いの部分は経験もアイデアも豊富なみなさんが担ってくれると思ったので、最終的にはそこまで笑いを意識せず、場の空気に頼っていました(笑)。

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