山寺宏一が語る、動物キャラを演じる面白さ 『映画 ねこねこ日本史』の「素敵なアイデア」とは?

 『映画 ねこねこ日本史 ~龍馬のはちゃめちゃタイムトラベルぜよ!~』が2月22日に公開された。

 現在、NHK Eテレにてアニメ放送中、読売KODOMO新聞の連載も好評を博す『ねこねこ日本史』。歴史上の人物に扮する“ねこ”が繰り広げるゆる~い日本史を描いた歴史コメディーが、劇場版として登場する。小学生ねこのフクが坂本龍馬とタイムトラベルをし、さまざまな時代を行き来する本作。

 NHK Eテレ版ではナレーションを務め、本作ではカラス型タイムマシーン・ヤッちゃんを演じるのが山寺宏一だ。アニメーションから吹き替えまで、さまざまなシーンで活躍する山寺に、役作りや本作の魅力について話を聞いた。

動物キャラは「想像力が試されるので楽しい」

ーーNHK Eテレで放送されているショートアニメですが、劇場版になると聞いた時どんな感想を持ちましたか?

山寺宏一(以下、山寺):今までシリーズを長くやっていますが、その集大成的な作品なのか、もしくはピンポイントで何人かに焦点を当てる作品になるのか、どちらになるんだろう?と思ったんです。それで、僕は相変わらずナレーションをするんだろうと思っていたら、全然違う新しいキャラクターで。「え!? ナレーションじゃないの!?」と、戸惑いましたよ。でも、演じていくうちにだんだんわかってきました。今回演じるヤッちゃんは今までナレーションでやっていたようなツッコミも含めたキャラクターになっていて、上手いこと考えたなと。

ーーカラス型タイムマシーンという役どころで、機械でありつつ、動物で、さらにナレーション的な役割を持っていてと、さまざまな面を持つキャラクターですね。

山寺:最初は手探りでした。観ている人も戸惑うかもしれませんが、ここはロボットとして指令を出すところ、ここは会話するところ、ここは独り言、ここはツッコミとか、僕がちゃんと理解して演じていれば、観ている方もわかってくれると思ったので、徐々に掴みながら進めていきました。それとカラスなので、語尾に「カアー」とつけるんです。それをするとセリフの意味が伝わりづらいんじゃないかと思いましたが、それでも伝わるようにしなきゃなと(笑)。

ーー今回はカラスですが、山寺さんはこれまでも『アンパンマン』のチーズをはじめ、さまざまな動物を演じられていますよね。動物を演じる時に意識の違いなどはあるのでしょうか?

山寺:動物を演じるといっても、大体は擬人化しているわけですから、人間を演じる時とあまり変わらないんです。鳴き声だけの場合はまた別ですけど、鳴き声もデフォルメしているものと、リアルなものとさまざまです。今回のヤッちゃんに関しては、メカでありつつ、自分の感情もそれなりにあるので、その辺りのバランスを考えました。役それぞれでアプローチが全然違います。でも、想像力が試されるので楽しいですね。“いかにも”なわかりやすい声なのか、「こんな風に来たか」と感じてもらえるように意表をついてみたり、まずは自然に聞こえたほうがいいのかなど、いろいろ考えながら作っていくのは面白いです。あとは、動物というかデフォルメしたキャラは、思い切ってやることが大事で、中途半端にやってしまうと、逆に違和感が出ちゃうんですよ。

ーーそういった想像力は長年の経験で培っていったんでしょうか?

山寺:それは、面白い動物キャラをやっている先輩を見て聞いて、学んだところが多いです。「こういうやり方があるんだ」とか「この人はすごいな」とか、全部取り込みたいタイプなので、やはり現場で学ぶことは多いです。吹き替えのお仕事でも、声帯が違うからか、海外の人の声の使い方が全然違っていたりして、学ぶことが多いんです。それを自分の中にきちんと取り込んで、不自然じゃなく出すのは難しいですね。

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