『スカーレット』伊藤健太郎が自立生活をスタート! 家を出た息子と残された母親

 美大での学生生活を終えた武志(伊藤健太郎)が信楽に戻ってきて、信楽窯業研究所で1年間研究生をすることになった。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第111話では、武志の自立と、一人で生きる喜美子(戸田恵梨香)の様子が描かれた。

 武志は喜美子をあかまつに誘う。母子は初めて2人でお酒を飲むことになった。武志は、喜美子が若い頃からずっと憧れていた学生生活について、喜美子に疑似体験させてやると自身の学校での思い出を詳細に話す。喜美子は武志の話を聞いて、学生生活に想いを馳せる。その晩、喜美子は自分が学生になる夢を見たほどだった。

 翌日、武志は信楽窯業研究所の掛井武蔵丸(尾上寛之)の元で勉強することを喜美子に報告。そして喜美子の穴窯での陶芸を継がないことも申し訳なさそうに伝えた。喜美子はそんな武志を「あほ! 誰が穴窯継げって頼んだ」と思い切りよく送り出す。そして武志は、一人暮らしを始めるために川原家を出て、アルバイトをしながら暮らすことになった。

 夢だった学生生活。喜美子は武志のおかげで学校に通うという気持ちを感じることができた。武志は喜美子の代わりに喜美子の夢を叶えた存在でもある。やりたかったことを実現させ、なんの心配もなく陶芸に打ち込もうとしている。そして縛られるものの何もない武志はあっさりと自立して家を出てしまった。自立するとは、良くも悪くも全てのしがらみを投げ捨てて自分の力で生きることである。そして誰の人生も背負わないことだ。喜美子は常に家族や姉妹の人生を背負い、なかなか自立できずにいた。しかし、皮肉にも最後はみんな喜美子の元を巣立ってしまう。喜美子はまた一人になってしまった。

 武志は決して無慈悲な男ではない。誰よりも喜美子を大切に思っていた。喜美子が八郎(松下洸平)を失ったときも喜美子を支え、マツ(富田靖子)と3人で暮らしていた時もマツの面倒を見るなど、八郎に似て穏便で心優しい男である。その一方で、喜美子と八郎の息子だ。我が道を自力で歩む力強さもある。それが喜美子を1人にすることにつながった。

 そんな喜美子の元に見知らぬ女性が訪ねてくる。彼女は一体何者なのだろうか。そして喜美子にどう関わっていくのだろうか。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)〜2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、松下洸平、桜庭ななみ、福田麻由子、マギーほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記
演出:中島由貴、佐藤譲
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

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