『ジョン・ウィック:パラベラム』は理想的な続編! 広げすぎた風呂敷を畳み、アクションに特化

 そして3こと『パラベラム』である。結果から言えば「大丈夫だった」。作り手たちも風呂敷を広げ過ぎたことを自覚し、話がこじれそうなことはしていない。強烈なキャラやゴージャスなビジュアルは2を受け継いでいるが、プロットは2に比べるとかなりシンプル。「キャラや世界観設定もいいけど、この映画のキモはやっぱりアクションや!」と開き直っているのが窺い知れる。シリーズ随一のアクションはその証しだろう。キアヌはオープニングから銃撃戦・格闘・ナイフの投げ合い、さらには馬まで乗り回る大判振る舞い。55歳の概念が揺れる大活躍だ。さらにはハル・ベリーも「『キャットウーマン』(2004年)は何だったんだ?」と懐かしい気持ちにならずにはいられない、アクロバットかつド迫力な肉弾戦を披露。敵役にも『ザ・レイド』(2011年)と『ザ・レイド GOKUDO』(2014年)でそれぞれラスボスを務めたヤヤン・ルヒアンとセセプ・アリフ・ラーマン、さらには根強い人気を誇るアクションスター、マーク・ダカスコスを配置するなど、アクション映画として抜かりがない。

 複雑になりがちだったプロットはシャープになり、画はよりゴージャスに、アクションは全てにおいてパワーアップ。続編としては理想的だ。個人的にはシリーズで1番好きであるし、1番バランスが良い映画だったように思う。2の広がり切った風呂敷をちゃんと使いつつ、アクション映画としてグッと完成度を上げてきた1本だ。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■公開情報
『ジョン・ウィック:パラベラム』
全国公開中
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス、ハル・ベリー、イアン・マクシェーン、ローレンス・フィッシュバーン、マーク・ダカスコス、アンジェリカ・ヒューストン
配給:ポニーキャニオン
2019年/アメリカ/R15/原題:John Wick: Chapter 3 – Parabellum
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公式サイト:http://johnwick.jp/

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