『同期のサクラ』は明日を頑張る活力をくれる 竜星涼が気付いた自分自身を応援するということ
そして、仕事に復帰した菊夫は桑原に向け、目の前の仕事を自分にしかできないやり方でやりたい、やらされるんじゃなくて、自分がやるべきと思った仕事をやりたいと宣言をするのだ。サクラのように世間知らずで空気を読まずにいれば会社の中では衝突は避けられず、菊夫のように上司の顔色を伺い全ての要求に応えていれば、やがて限界を超えて破綻する。第2話で描かれる物語は、1年目、2年目の新入社員が必ずぶつかる壁だが、菊夫が現場の人たちに愛を持って接していたように、一つひとつの仕事を丁寧にこなしていけば、やがて全体の歯車は回り出す。それが菊夫の強い部分であり、彼の姿に明日を頑張る活力をもらった視聴者も多くいるのではないだろうか。
第3話で描かれるのは、2011年、社会人3年目で結婚退職を考える月村百合(橋本愛)。予告の中で、震災をきっかけに結婚を申し込まれたと百合は話しているが、『同期のサクラ』は第1話の2009年、第2話の2010年と時代考証がはっきり描かれた作品でもある。
第1話では2009年に大ヒットした村上春樹の長編小説『1Q84』、第2話では映画化もされた青春小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が登場している。さらには、テレビで報道されている時効廃止法の改正、サクラたちが当たり前に使用しているフィーチャー・フォンもそれらに当てはまるだろう。そんな時代の移り変わりと共に変化していく細部の演出も、『同期のサクラ』を楽しむ一つの要素である。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
『同期のサクラ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:高畑充希、橋本愛、新田真剣佑、竜星涼、岡山天音、相武紗季、椎名桔平
脚本 : 遊川和彦
チーフプロデューサー : 西憲彦
プロデューサー : 大平太、田上リサ(AXON)
演出 : 明石広人、南雲聖一
制作協力 : AXON
製作著作 : 日本テレビ
(c)日本テレビ
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