堀田真由が語る、主演と助演とでのスタンスの違い 「一番大事なのは、その役を愛すること」
「主演ではない時は、いかに自分の色を作品に残すことができるか」
ーーマリは囚人側も看守側も経験するわけですが、堀田さん自身は実際やるならどちらの方がいいですか?
堀田:自由な時間を持てて美味しいご飯も食べられるので、やっぱり看守側です。できることならどちらもやりたくないですけど……(笑)。でも、囚人も看守も普通に生きていたらなかなかなれるものではないので、役者としてこうやって演じられたのはすごく楽しかったです。
ーー渡辺謙作監督の印象はどうでしたか?
堀田:監督は結構追い込んでくださる方で……(笑)。お芝居に関しては結構自由にやらせていただけたんですけど、それが監督の中のイメージと違ったら「それだと伝わらないから、もう1回」みたいなことしか言わないんです。でもその演出の仕方が今回の作品のテーマともすごく合っていたので、監督なりの狙いもあったのかなと。逆に「いいよいいよ」っていう感じだったらたぶんうまくいってなかったと思うので、今回監督が追い込んでくださったのはすごく助かりました。
ーー監督は間違いなく狙ってやっていたんだと思います。
堀田:でも、身長も高くてわりと見た目も恐い方なので、責められると少し恐かったです(笑)。初めてお会いした時に、気さくに話しかけてくださったのもあったので、そのギャップがありました。普段は優しいイメージですけど、オンとオフのスイッチが結構はっきりしているイメージでした。
ーー密室以外のシチュエーションでは、マリの姉ユマ役の板野友美さん、ユマの夫コウキ役の前野朋哉さんが出演しています。お2人との共演はいかがでしたか?
堀田:前野さんとは、『わろてんか』(NHK)で以前ご一緒させていただいていたので、「お久しぶりです」という感覚でした。やっぱり1度ご一緒したことのある方ともう1度現場で会えるのは嬉しいですし、お会いした時の安心感が半端じゃなかったです。しかも役柄が義理のお兄ちゃんという。前野さんとはあまり共演シーンがなくて、撮影も半日ぐらいしかご一緒できなかったんですけど、「最近朝ドラのメンバーに会いましたか?」とか、「あの作品観ました!」というようなお話ができて、すごく楽しかったです。板野さんは、実際に妹さんがいらっしゃることもあるのか、本当に妹のように接してくださいました。映画の中では姉妹の関係性がほとんど描かれていないので、気持ちを持っていくのは難しいだろうなと思っていたんですけど、板野さんがオープンな感じで受け入れてくださったので、本当にやりやすかったですし、全く不安がなかったです。空き時間もいろいろなお話をさせていただきました。
ーー今回の『プリズン13』は主演映画になるわけですが、今後は脇を固めた映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』(9/6公開)、『超・少年探偵団NEO -Beginning-』(10/25公開)、『ブラック校則』(11/1公開)、『殺さない彼と死なない彼女』(11/15公開)などが続々公開されますね。脇を固める作品と今回のような主演を務める作品とで、何か意識の変化はあるんですか?
堀田:主演ではないポジションで役を演じる時は、主演の方を支えながらも、いかに自分の色を作品に残すことができるかを考えているんです。前に出るときは出るし、隠れるときは隠れる。そういうバランスを大事にしています。そのやり方に慣れていたところがあって、久しぶりの主演となった今回、最初はなかなか自分の意見を言えずに、監督から「そんなことではダメ」と言われたんです。それから気持ちを切り替えて、自分の意見をきちんと言ったり、責任を持つようになったりしましたし、現場を盛り上げようという気持ちにもなりました。
ーー主演を務める上では現場の空気作りも大事になってきますよね。
堀田:本当にそうなんですよね。今回の作品は内容が内容なだけに、テンションが下がったり疲れが出てしまったりするところを、自ら率先して声を出したりして士気を高めるようにはしていました。キャストの中で私は一番年下ではあったのですが、そういうことはきちんとやろうと。あと、お芝居に関しても“遠慮しない”というのはすごく意識しました。