相米慎二も魅了された“亡者踊り” 死とエロスが匂い立つ『火口のふたり』本編映像公開

 8月23日に公開される映画『火口のふたり』より、本編映像の一部が公開された。

 本作は、作家・白石一文の同名小説を、荒井晴彦が『この国の空』以来、3年ぶりに監督と脚本を務め映画化した人間ドラマ。結婚前に昔の恋人と再会し、抑えきれない衝動の深みにはまっていく危ういふたりを描く。『きみの鳥はうたえる』『アルキメデスの大戦』の柄本佑と、『彼女の人生は間違いじゃない』の瀧内公美が共演する。

 このたび公開された本編映像は、賢治(柄本)と直子(瀧内)が、2人きりの最後の夜に、秋田で毎年8月16日から18日にかけて開催される“西馬音内盆踊り”を訪れる場面。盆踊りを見ながら「今晩で終わりだな」と名残惜しそうに賢治がつぶやき、「約束守れる?」と、直子が笑みを浮かべた顔で返すやり取りが繰り広げられ、盆踊りの隊列を横切る賢治と直子にストップモーションがかかる、印象的な場面が映し出されている。

『火口のふたり』西馬音内盆踊りシーン

 かつて、映画監督の相米慎二もこの踊りに魅了され、三日間見続けたという。相米監督から評判を聞いた荒井監督も2006年に初鑑賞。別名“亡者踊り”とも言われるこの踊りの、死とエロスが匂い立ってくる様子に魅了され、「男女の恋と西馬音内盆踊りを絡めた作品を撮りたいと思った」と、初めて見て以来作品への取り込みを構想していたことを明かす。また、本作の舞台を、原作の九州・福岡から秋田に変更したのは、この西馬音内盆踊りを作品に取り込むためだったと語っている。

■公開情報
『火口のふたり』
2019年8月23日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開
出演:柄本佑、瀧内公美
原作:白石一文『火口のふたり』(河出文庫刊)
脚本・監督:荒井晴彦
音楽:下田逸郎
製作:瀬井哲也、小西啓介、梅川治男
エグゼクティブプロデューサー:岡本東郎、森重晃
プロデューサー:田辺隆史、行実良
写真:野村佐紀子
絵:蜷川みほ
タイトル:町口覚
配給:ファントム・フィルム
レイティング:R18+
(c)2019「火口のふたり」製作委員会

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