『なつぞら』厳格な開拓者・泰樹は、視聴者に安心感を与える“ツンデレおじいちゃん”に?
『なつぞら』(NHK総合)第16週「なつよ、恋の季節が来た」第95回にて、泰樹(草刈正雄)が新宿・風車に姿を現し、夕見子(福地桃子)の彼氏・高山(須藤蓮)を“抹殺”するシーンが話題となっている。
第16週より登場した高山は、新聞社が撮った写真の泰樹を見て、「開拓者の1世にしかない雰囲気がある」と身なりを真似するほどに憧れていた。「ジャズを聴きながらウイスキー片手にナッツでもつまんでいれば似合いそう」と膨らむ彼の妄想を、なつ(広瀬すず)が「普段は饅頭食べながらお茶飲んでますけどね」と打ち砕く。結果、高山は夕見子と喧嘩別れした直後に、風車の入り口で待ち受けていた泰樹に“抹殺”という名の鉄拳をくらい、「その髭も剃れ」と吐き捨てられる始末。まるで『北斗の拳』のケンシロウと雑魚キャラのような構図だ。
高山が敬意を表していたように、泰樹は18歳の時に一人で北海道・十勝を入植した開拓者。男手一つで富士子(松嶋菜々子)を育て上げ、柴田牧場の牧場主となった。彼の開拓者精神は、なつだけでなく、農業で生きていくことを決めた天陽(吉沢亮)にも引き継がれている。
偏屈で頑固な性格は、幼きなつを夜明けと共に働かせていた第1週「なつよ、ここが十勝だ」や柴田家の長男・照男(清原翔)となつを無理やり結婚させようとした第6週「なつよ、雪原に愛を叫べ」などに色濃く表れているが、一方で物語の要所、要所に笑いにも似た安心感を与える存在にもなってきている。
第16週で富士子から「慣れてない人がいい」と後押しされ、夕見子を迎えに来た泰樹。これまで富士子や照男、砂良(北乃きい)が東京に来ることはあったが、柴田家の中で泰樹が一人で東京にやって来るというのは、なつも驚く出来事だった。実際に、第91回で高山を泰樹と見間違えたなつに、ナレーションで「なつ、じいちゃんがここに来るわけないだろう」というツッコミが入るほどだ。とんぼ返りで北海道に帰る泰樹に、なつが東京に来ようと思った理由を聞くと、「それはなつが……いや……」となつに会いたかったという本音が溢れてしまう。実の孫娘・夕見子に背中を向けて。