『プロメア』は大衆娯楽映画の最先端に 強烈な生のエネルギーを描くTRIGGERの手法とは

 鑑賞中、頭が沸騰した。最初から最後までクライマックスかというようなテンションで111分が嵐のように駆け抜けた。少し肌寒いくらいの空調の効いた試写室で、映画が終わった時には汗ばんでいた。

 オリジナルアニメーション映画『プロメア』は、大変な熱量の大衆娯楽映画だ。個性的なキャラクターにビッグスケールのストーリーと、過剰なアクションとコミカルさがハイレベルでせめぎ合っている。制作したTRIGGER、監督の今石洋之、そして脚本の中島かずきの魅力がこれでもかと言わんばかりに詰め込まれている。

 本稿では、TRIGGER及び、監督と脚本の2人の魅力と特異性を紐解くことで、本作の魅力に迫ってみたい。

『キルラキル』で瞬く間に認知されたTRIGGER

 TRIGGERは、GAINAX出身の3人が独立し2011年に設立された新しいアニメーションスタジオだ。だが、すでにアニメファンの間では信頼できるブランドとしての地位を確立している。

 TRIGGERを語る上で、最も重要な作品はそのTVアニメデビュー作『キルラキル』だろう。『プロメア』でも監督と脚本を務めている今石洋之と中島かずきのコンビによるこのオリジナルアニメは、2013年に放送されると、ポップな絵柄に超過剰な描写のアクションにギャグ、そして壮絶なテンポで進む見事なストーリーで、アニメファンを魅了した。

 GAINAX所属時代に今石と中島がコンビを組んで制作した『天元突破グレンラガン』を知るファンは、その過剰な作風を知ってはいたが、『キルラキル』は想像を越える完成度とオリジナリティで、TRIGGERという新進のスタジオを強く印象づけた。

 その後、TRIGGERは『リトルウィッチアカデミア』や『SSSS.GRIDMAN』『ダーリン・イン・ザ・フランキス』など話題作のTV作品を制作し続け、地位を確固たるものにしてゆく。

 『プロメア』は、『グレンラガン』『キルラキル』の直系の子孫のような作品だ。監督と脚本家の他にも、共通のスタッフも多く参加し、『キルラキル』で活躍した声優が大挙して出演しており、何より映像からほとばしる尋常ではない熱量がそう思わせる。『キルラキル』の時は、自宅のTVモニターで鑑賞するほかなかったが、「もし、TRIGGERが全力でアニメ映画を作ったらどうなるんだろう」と多くのアニメファンは考えたに違いない。本作は、その期待に120%の熱量で応えてみせた。

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