坂元裕二『最高の離婚』のパロディも 『離婚なふたり』は軽妙なテンポで進む、新しい離婚劇に

 人はなぜ離婚したくないのだろうか。

 人はなぜ離婚したくなるのだろうか。

 4月5日、樋口卓治原作、本人が脚本も務めるドラマ『離婚なふたり』の前編が、テレビ朝日系で放送された。本作は、リリー・フランキー演じる人気脚本家、野田隆介が、妻・今日子(小林聡美)から離婚を切り出されるところから始まる。普段は亭主関白で、家事は基本的に妻任せであり、食事は仕事部屋でのカップ焼きそば。声を荒げたり暴力を振るったりすることこそないものの、上から目線で指示を出す。そんな状況に嫌気がさした今日子は、突然離婚を切り出した。「私と別れてください」。

 隆介は人気脚本家として、夫婦関係を描いた作品を多く手がけており、困難を乗り越えてゆく夫婦の姿を多く描くことから、「サバイバルロマンス」=“サバロマ”の名手などと呼ばれていた。そんな隆介にやってきた妻の突然の離婚宣言。予想だにしない申し出に、隆介は困惑する。最初は些細なことに機嫌を損ねているだけだと思っていたが、今日子が決然たる意志を示すにつれ、戸惑いは大きなものに。そして自ら手がけるドラマ作品と私生活との矛盾が、次第に噴出してゆく。

 一方の今日子は友人の真紀(渡辺真起子)の紹介で、弁護士の堂島正義(岡田将生)とともに、離婚への準備を本格的に始めていくが、彼女もまた堂島が並べる硬い言葉に戸惑いながらも、進んでいこうとする。浮気やDVなど定番の理由があるわけではない。けれども今の夫との生活は決してハッピーなものではない。そんな割り切れない感情を、今日子の台詞は的確に表現する。「漠然と、自分の未来に夫がいない」。

 隆介は自らのドラマのプロモーションのため、スポンサー企業の「サンクス・ワイフ・ギビング賞」の大賞受賞者として登壇してほしいと依頼され、勝手に引き受けてしまう。それを知った今日子からは、授賞式の出席の条件として別居を提示される。そして前編のラストでは、夫婦揃って壇上でインタビューを受けるが、当然かみ合うはずもない。挙げ句の果てに、若手の頃の苦労時代の妻からの言葉として隆介が持ち出したのは、CMのコピー。漫談? とツッコミが入るも当然である。

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