萬平(長谷川博己)は3度目の拘束にどう立ち向かうのか 『まんぷく』終戦後も“戦い”は続く

 東と萬平が初めて対面したときのこと。アメリカの憲法裁判所の判決に不服申し立てはできないと東が説明すると、萬平は絶望の表情を浮かべてしまう。その時、東は「でも希望は捨てないでください!」と声をかけたのだった。あるいは、ダネイホンの商標と製造方法が売れたことを報告しにいったときのこと。その時にも、「どうか希望を捨てないでください」と口にした。

 捕らえられているために、萬平にはできることがほとんどない。でも、そんな状況でもできることがある。その1つは、“希望を捨てない”ということ。それが大きいもののときもあれば、小さいもののときもある。ただ、いずれにせよ“希望”はちゃんとそこにある。要するにその“希望”を捨ててしまうか、持ち続けるかの問題なのだ。口で言うのは簡単である。実際に萬平のような立場になってみなければ本当の辛さは分からないのだろう。“希望”を持ち続けるというのは、ある意味では極めて辛いことでもありうるのだ。

 だが、萬平は3回も捕らえられたものの、いずれの場合も周りの人間たちは萬平の解放のために力を尽くしてきた。自分がやっていることが、果たして解放につながるのかどうかなんて断言はできない。それでも、こうすることで萬平が助かるという“希望”をしっかりと持ち続けた。その意味において、塀の内側にいる人間も、外側にいる人間も共通して言っていることがあるのだ。“希望”がある限り、ただそれを抱き続けるということ。それこそが、福子たちの“戦い”を後ろで支えてくれる大きな武器なのだろう。

「戦いは終わっていない」

 今週の最後に口にした萬平の言葉である。ナレーションでは、「その戦いが想像を超えたものになる」と言っていた。しかし、ここは鈴さん(松坂慶子)が話を聞いた占い師、あるいは剛田(イッセー尾形)が予言した、「大器晩成」という言葉を信じるしかない。

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、瀬戸康史、中尾明慶、橋爪功、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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