吉沢亮の優しさはどこに宿っている? 『サバイバル・ウェディング』“隣で寄り添う”ことでの存在感

 ティファニーは戦時中、医療機器を軍へ提供したり、亡命者から貴金属を買い取って、それらを販売したりすることで、時代の荒波をくぐり抜けてきたという。ブランド品は一般に、戦時下においてはあまり売れないとされる中で、ティファニーはこうして、ある意味したたかに生き延びてきた。宇佐美(伊勢谷友介)によれば、それは恋愛においても同じことが言えるという。時代がどんな風に変わっていこうと、その趨勢の変化を上手く読み取る。そして、臨機応変に戦略を変えていくことでサバイブすることができるのだとか。恋愛をある種のゲームにように捉えて奮闘していく様を描く、いかにも『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)的な考え方である。

 このティファニーの逸話は、さやか(波瑠)が、目を通した恋愛の指南本には「男は追いかけるのが好きな生き物だから、自分からは話しかけるな」といった趣旨のことが書かれていたことを宇佐美に話した際、彼がそれを否定したときに出てきたものである。その指南本は1997年に書かれたというから、かれこれ20年近く前のアプローチの仕方である。そこで、第4話では「男は追いかけて、女はそれを待ち続ける」という図式にこだわり続けることはないということで、さやかは宇佐美の指示通り、次々に出会いを求めて合コンに足を運び、男性との出逢いを求めて奔走していく。

 ただ、ここで興味深いのは、こうした宇佐美の戦略はなかなか上手くいかず、彼女が納得のいく男性には一向に出逢えないという点だ。そして、物語の終盤では結局、さやかの心に刺さる男性は、宇佐美の戦略であれこれ探し回った末に見つけた男性ではなく、そうする以前から一目惚れをしていた祐一(吉沢亮)に他ならなかったことを思わせた(もちろん祐一と再会できたのは、さやかが合コンに足を運んだからではあるけれど)。

 祐一の圧倒的ルックスは言うまでもないことではあるが(それを言ったら和也(風間俊介)だって負けず劣らずの美男子である)、さやかはどうして祐一に心を動かされていくのだろうか?

 和也のような強引さが、祐一にはない。祐一の魅力の一つは、引っ張るのでもなく、甘えてくるのでもなく、ただそっとさやかの側に寄り添ってくれること。第2話のバスの中のシーンで、祐一のスーツに涎を垂らしながら眠り込んでしまうさやかであったが、祐一は文句一つ言わずにそんな彼女を受け入れる。出版社勤務で多忙を極めるさやかを慮っての振る舞いなのであろう。

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