慶介(亀梨和也)と百々瀬(藤木直人)は似ている? 『FINAL CUT』直接対決の行方

 その宣言通り、“ミスターメディア”の百々瀬は、“みんなが見て喜ぶ、透明な檻の中に”入る危険性を回避している。『ザ・プレミアワイド』という全国ネットを使って、アメリカで有名なマスコミ騙し人であるジョイ・スカッグスを例に挙げ、慶介の“ファイナルカット”を無効にしてみせたのだ。スカッグスは、「報道を無条件に信用する人々に警鐘を鳴らしたい」という理由で、フェイクニュースを流していたという。慶介が百々瀬に向かって放っていた言葉「報じたら事実になるんだよ! でもそれは、真実じゃない」が頭をよぎる。大半の人が報道を無条件に信用する今だからこそ、一度報じられたら、たとえ真実でなくても事実になってしまう。そして、スカッグスのもう一つの言葉「メディアは、私の表現媒体である」は、まるで百々瀬のセリフのようだ。『ザ・プレミアワイド』は、百々瀬の表現の場になっているのだから。

 余談だが、これまでのチェインストーリーのタイトル「FAKE~偽りの顔~」、「IDEOLOGY~信念~」、「NIGHTMARE~悪夢~」、「ATTRACTION~魅力~」、「LIAR~嘘つき~」はすべて慶介にも百々瀬にも当てはまるように思う。中村(早川)慶介のほかに、吉澤優と高橋守、そして山田哲也という“偽りの顔”を持つ慶介と、世間のイメージとは異なる、“偽りの顔”を持つ百々瀬。そんな慶介と百々瀬はともに人を惹きつける“魅力”も持ち、たとえ誰かを傷つけることになっても、自身の“信念”を曲げずに突き進んで行く。そう、“嘘をつき”ながら。そして、慶介は12年前に、みんなが見て喜ぶ、透明な檻の中に突然入れられるという“悪夢”を見ている。百々瀬も慶介に“ファイナルカット”を突きつけられた時に、苛立ちとともに珍しく少しの動揺が垣間見えた。ただでさえプライドが高い百々瀬。加えて、プライベートでボロがでないよう、慎重に生活していたのだから、あの映像を撮られて脅されたのは“悪夢”のような出来事だっただろう。秘めている想いは違えど、もしかしたら慶介と百々瀬はとてもよく似ているのかも知れない。

(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『FINAL CUT』
毎週火曜21:00~21:54(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
出演:亀梨和也、藤木直人、栗山千明、橋本環奈、林遣都、高木雄也(Hey! Say! JUMP)、やついいちろう、杉本哲太、裕木奈江、鶴見辰吾、升毅、水野美紀、佐々木蔵之介
脚本:金子ありさ
音楽:菅野祐悟
演出:三宅喜重(カンテレ)、日暮謙
プロデューサー:豊福陽子(カンテレ)
制作著作:カンテレ
(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/finalcut/index.html

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