注目の新進女優・小牧那凪が語る、初主演映画『金沢シャッターガール』と女優としての目標

 桐木憲一原作の人気コミック『東京シャッターガール』の姉妹編を実写映画化した『金沢シャッターガール』が、2月9日より東京で公開される(石川県では公開中)。北陸新幹線の開業で変わりゆく“金沢”と、16歳の少女のちょっとした“心の成長”を重ね合わせた本作は、金沢を中心にオール石川ロケで撮影された青春映画だ。

 今回リアルサウンド映画部では、中学時代の環境からなかなか抜け出せず前に進めない高校生・夏目花菜を演じた新鋭・小牧那凪(旧名:のえる)にインタビューを行った。本作が映画初主演となる彼女に、出演の経緯や、撮影時のエピソード、さらに今後の女優としての目標などを語ってもらった。

「主演に決まったときは暗い方向に気持ちが向いてしまった」

ーー作品には「のえる」とクレジットされていますが、現在は「小牧那凪」として活動されているんですね。

小牧那凪(以下、小牧):この作品に出演したときはまだフリーで活動をしていたのですが、去年の夏から今の事務所にお世話になっていて、そのタイミングで名前を変えたんです。フリーのときは、もともと写真の“被写体”として活動していたのですが、そのときにご一緒したカメラマンさんから、「今度こういう映画の企画があるから応募してみたら?」と連絡をもらったのがこの作品との出会いでもありました。

ーーなぜ応募してみようと思ったんですか?

小牧:この作品の前身となる『東京シャッターガール』の存在は知っていたのですが、その時点ではまだ物語の詳細がわからなかったので、カメラの映画かなと思っていたんです。もともと被写体としての活動もしていましたし、カメラマンさんとの関わりもあったので、いまの私にちょうどいいのかもしれないと思ったのがきっかけですね。結局、そこまで“カメラの映画”ではありませんでしたが……(笑)。

ーーそこからオーディションを経て主演に抜擢されたわけですね。映画初出演で初主演というのもなかなか珍しいですね。

小牧:主演に決まったときは嬉しいという気持ちは一切なくて、「何で私なんだろう?」と暗い方向に気持ちが向いてしまって。作品の評価も全て私の責任になるんだと思って、すごく重く受け止めてしまったんです。私が主演に決まったのは、単純に花菜という役の見た目のイメージに当てはまったというのもあったらしいのですが、オーディションの審査員の方々の私に対する第一印象が、皆さん一致して「闇を感じる」だったそうで(笑)。中学の頃の友達が高校で新しい友達を作っていくのに対して、花菜は新しい環境に馴染めず、そのギャップにどんどん落ち込んでいってしまう。寺内(康太郎)監督は、私ならその「闇」をリアルに表現できると思ったとおっしゃっていました。

ーー実際は闇を抱えて……?

小牧:ないです!(笑)監督からは、花菜を演じるにあたって、「天真爛漫で、素直で、正直にいてほしい」と言われたんです。それと、「落ち込むときにはどんどんエゴイストになっていってほしい」と。私自身は天真爛漫でもないですし、落ち込んでも自分の中で解決してしまうので、「全然違う! どうしよう……」と思って。性格的には全く重なる部分がなかったので、自分と照らし合わせるというよりかは、一人の女の子としてどうやったら花菜に近付けるか、そうやって客観的に捉えながら役作りをしていきました。

ーー中学生から高校生に、大人への階段を一歩踏み出しきれないでいる花菜の悩みは、この年代の若者たちにとっては共感性が高いような気もします。

小牧:映画のタイトルからすると、一見、中高生がキラキラしている、明るくてピュアな青春映画のイメージを抱かれるような気がするんですけど、実際はまさに共感性の高い、いい意味で暗めの青春映画になっているんです。大人の方は青春時代を思い出して「こういうこともあったな」と懐かしさを感じていただけると思いますし、同世代の方々にとっては、この映画を観てこれからどうしていけばいいかを考えさせられる内容になっていると思います。

ーー撮影は全て石川県で行われたんですよね。舞台設定となった金沢の方言の取得も大変だったのでは?

小牧:確かに大変でしたが、主演に決まったとき、地元に住んでいたスタッフさんから台本を全て金沢弁で読み上げたボイスメモをいただいたんです。それを聞きながら覚えられたのは大きかったですね。それと今回、キャストは私たち東京在住組と、現地の石川在住組にほぼ半々で分かれていたんです。なので、現場で地元金沢出身のキャストのみんなから、どう発音するのかなどをその場でレクチャーしてもらえたのもかなり助けになりました。

ーーキャストもほとんど同年代の方々なんですよね。

小牧:そうなんですよ。なので撮影も和気あいあいとしていて、しかも寺内監督がとても優しい方だったので、共演者の方々やスタッフさん含めて、撮影現場もとてもいい雰囲気でした。ただ、撮影は基本的に一発撮りだったんですけど、中学時代の友達と夜に海の近くで遊ぶシーンは大変でした。秋から冬にかけての撮影だったにもかかわらず、「夜」「海」「半袖」という設定で、海からの風がすごく冷たかったのと、長時間の撮影だったので、単純に寒くて辛かったです(笑)。

関連記事