最近の女性が主人公の仕事ドラマでは、男性がステレオタイプな悪役として描かれがちであるが、今回の『アンナチュラル』はそれだけではなく、男女がそれぞれの特性を利用しあう狡猾なパートナーシップが描かれていて、そこに一歩踏み込んだ価値観の提示を見た。このあたりのバランス感覚は、さすがは『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子である。多くの人が目にする地上波では、ちょっとした誇張表現が炎上へと繋がりかねないため、ポリティカル・コレクトネスを意識することは重要だ。しかし、それを表現の制約と捉えるのではなく、そのギリギリの線引きの中にこそ新しい価値観があると模索して表現することが、今のテレビドラマには求められているのではないか。

　『アンナチュラル』もまた、0.1%の真実を描こうとしている。

（文＝松田広宣）

■放送情報
金曜ドラマ『アンナチュラル』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演：石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海（超特急）、飯尾和樹（ずん）、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子（特別出演）、松重豊ほか
脚本：野木亜紀子
プロデューサー：新井順子（ドリマックス・テレビジョン）、植田博樹
演出：塚原あゆ子（ドリマックス・テレビジョン）
製作：ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト：http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/