マーク・ウェブ監督が語る、感動作『gifted/ギフテッド』に挑んだ理由 「シンプルな映画を作りたかった」

 『(500)日のサマー』『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのマーク・ウェブ監督最新作『gifted/ギフテッド』が現在公開中だ。本作では、フロリダに暮らす、7歳の生意気ざかりのメアリーと、彼女の叔父フランクの楽しい日々が、生まれながらにして数学の天才的な才能を持つメアリーが学校へ行くことによって、揺らぎ始める模様が描かれる。

 今回リアルサウンド映画部では、プロモーションのために来日したウェブ監督にインタビューを行った。本作を撮ることになった背景から、クリス・エヴァンスとマッケナ・グレイスのキャスティングや映画における音楽の役割について、さらには『アメイジング・スパイダーマン』シリーズや『(500)日のサマー』の話まで、じっくりと語ってもらった。

「正直、マッケナ・グレイスなしではこの映画は成立しなかった」

ーー『アメイジング・スパイダーマン』シリーズが事実上の打ち切りという残念なかたちで終わってしまいましたが、今回の作品にはその影響が反映されているようにも感じました。

マーク・ウェブ(以下、ウェブ):正直に言って、『アメイジング・スパイダーマン2』を撮ってから、いろいろな意味でものすごく疲れ果ててしまったんだ。一方で、そこで立ち止まることは絶対にしたくなかった。とにかく映画を作り続けたいと思ったんだ。ただ、シンプルな映画を作りたかった。『(500)日のサマー』もスプリットスクリーンを使ったり、ダンスシークエンスを挿入したりと、テクニック的には複雑だったからね。

ーーシンプルな映画を作るということは、より監督の演出力が求められる部分もありますね。

ウェブ:そこで重要になってくるのが“演技”なんだ。思い返せばこの脚本を読んだときに、7歳の少女メアリーがちゃんとしていなければ、この映画は成り立たないと思った。僕たちが求めるような演技をできる女の子を見つけることは非常に大変だけど、それができれば観客がメアリーに共感を持ってくれて、感動してくれるだろうと考えたんだ。キャスティングがもっとも大きなチャレンジだったと言えるね。

ーーメアリーを演じたマッケナ・グレイスの演技は本当に素晴らしかったです。どのようにしてメアリー役が彼女に決まったのでしょうか?

ウェブ:オーディションで800人から1000人ほどの中から彼女にたどり着いたんだ。マッケナはユーモアのセンスがあって、即興もできて、プロ意識も持っていて、感情表現もとても豊か。そんな存在は彼女以外ほとんどいなかったね。最終的には5人ぐらいに絞って、それぞれクリス(・エヴァンス)と演技をやってもらったんだけど、そこでもマッケナの才能が光っていたんだ。メアリーは大人の真似をしたがるし、フランクの言うことをオウム返しのように真似るところもある。マッケナはそういった部分に関しても非常にうまかったし、初めてクリスと2人で演技をしてもらったときに、クリスとマッケナが同じようなユーモアのセンスを持っていることに気づいたんだ。マッケナはまだ子供なのに、とにかくユーモアのセンスがずば抜けていた。正直、彼女なしではこの映画は成立しなかっただろうね。

ーークリス・エヴァンスはどうしてもキャプテン・アメリカの印象が強いですが、今回は難しい役柄を見事に演じきっていました。

ウェブ:たとえ強さがあってカリスマ性を持っていても、今回のフランクのようなシンプルでどこにでもいそうな男の役を演じることを受け入れてくれるアメリカの俳優はなかなかいないんだ。キャラクターになにか大きな特徴がある役をやりたがる役者は多いんだけど、フランクにはそのような頼るべき特徴がほとんどない。しかもそういった役を演じられるような演技力を備えていなければいけないわけだからね。クリスは、このどこにでもいそうだけど、魅力的で心惹かれるようなフランクを見事に演じきってくれた。キャプテン・アメリカもただの明るいヒーローではなくて、苦労して辛い目にあって、それに耐えてきたというバックグラウンドがあるわけだから、そこで培ってきたものも大きかったんじゃないかな。

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