前代未聞の『ブレードランナー』フェスはなぜ開催可能に? 仕掛け人が語る、その全貌

美須「完全にブレラン・ワールドになるんじゃないかな」

――お二人の熱意が結実して実現した今回の「BRFF」ですが、目玉企画となるのが10月21日に開催される『ブレードランナー・プレミアムパーティ』。まず、会場となる川崎市臨海部浮島駐車場特設会場が、とてもスペシャルな場所だと伺いました。

美須:ここを見つけたのもまたひとつの奇跡だと思います。通常は一般の方が入ることができない場所なんですが、川崎市や所有者の協力もあって使わせていただけることになりました。


土岐:そうですね。ブレランの世界観にふさわしい工場夜景に囲まれた場所を、真冬の海風が吹きすさぶ中、体をガタガタ震わせながら川崎の臨海部をくまなくまわって探していたんですけど、ここに立ったとき“間違いなくここだな”と直感しました。ここは本当にブレラン・ファンの期待を裏切らないというか、ブレランの近未来を想起させる幻想的な工場夜景に四方を囲まれていて、いるだけで高揚感を覚えるような場所です。そこでDJの音楽が流れてお酒を楽しむなんて、それだけでもワクワクします。あと、制作をお願いしているクリエイターたちがいますごく興奮している。この最高のキャンパスをどう料理しようかって思ってくれているんですね。クリエイターたちが本当に前のめりになって本気で試行錯誤しているから、私は最高のパーティーにできるんじゃないかと思っています。

美須:あと、こういうイベントは通常は、晴天になること願うものですが、この場所はちょっと違うんです。小雨、霧雨とかになったもう最高。完全にブレラン・ワールドになるんじゃないかなと思います。

――イベントには「ブレードランナー」を語らせたら右に出る者はいないといっていいぐらい同作をこよなく愛するマニアによるトークショー、『ブレードランナー』に多大な影響を受けたアーティストによるDJパフォーマンス、『ブレードランナー 2049』にまつわる秘蔵映像上映など、この日限りの企画が盛りだくさんです。まさにブレラン・ファンにはたまらないフェスになりそうです。それにしてもDJにKen Ishii、m-flo及びblock fmの☆Taku Takahashi、トークゲストの樋口真嗣監督らと、豪華なメンバーが顔を揃えましたね。

土岐:これもブレランのなせる業といいますか。アーティストの方に関してはスケジュールが合わなくてどうしても無理という方はいたのですが、ほぼお声がけした方は賛同してくれました。改めてこの作品の偉大さを実感しましたね。トークショーに関しては、世界に熱狂的なファンを持つブレランですから、生半可な人では納得してもらえない。今回、ご登場いただく西修一さん、中子真治さん、高橋ヨシキさん、樋口真嗣監督は筋金入りのブレランのマニア。その中でも中子さんは日本で唯一「ブレラン」の撮影現場に立ち会った人物です。撮影の裏話を相当持っていらっしゃる。例えば、CGのない時代でほぼ模型で作っているんですが、模型であの世界観をどう作ったとか、出演者の当時のスキャンダル話などもよくご存じです(笑)。また樋口監督は日本における特撮映画においてもトップランナーですので、彼の視点による「ブレードランナー」観はどんなものなのか、ブレランに詳しくない映画ファンとしても興味深いですよね。イベント当日、どんな話が飛び出すのか僕自身が楽しみです。

美須アレッサンドロ氏

――今回の「BRFF」では、旧作『ブレードランナー ファイナルカット』の特別上映もされます。全国5館での完全限定公開になるそうですね?


美須:昨年9月にチネチッタ最大のスクリーンになるチネチッタ8に、ライブホール並みの臨場感を体感できる最先端のサウンドシステム“LIVEZOUND”を導入しました。その時点で私はこの劇場で『ブレードランナー ファイナル・カット』を上映したくて、配給に上映許可を打診していたんです。今回、全国限定5館のところにチネチッタが選ばれまして、最初から声を上げてなかったら実現していなかったかもしれないですね。とにかく『ブレードランナー ファイナル・カット』を“LIVEZOUND”で上映するという夢が叶って感慨深いです。音響には絶対の自信があるので、ぜひ劇場に足を運んでもらって、本編とそして久石譲さんにも多大な影響を与えたというヴァンゲリスの音楽を最高のサウンドで堪能してもらえたらなと思います。

――今回の「BRFF」のもうひとつの企画がチネチッタ内のロビーに開設される「ブレードランナー・ギャラリー」。こちらにはどんなものが並ぶのでしょう?

土岐:これは今回トークショーにご登場いただくゲストの方をはじめ、協力いただいた皆さんは国内トップのマニアですから、結構秘蔵コレクションをお持ちでして、今回の話を進めていったら、みなさん“こういうアイテムあるから展示したらファンの皆さんが喜ぶのでは?”と自然と話がまとまって、実現することになりました。皆さんブレラン愛にあふれている人ばかりで本当に損得抜きでご提供してくださるということで、貴重なコレクションがずらりと並ぶことになるかと思います。いま選定作業に入っているのですが、全部は並べられないのでどれをお借りしようかすごく悩んでいます。こちらも期待してください。

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