プロデューサー&ノーラン監督の妻エマ・トーマス、『ダンケルク』製作の裏側語る

 9月9日に公開されるクリストファー・ノーラン監督最新作『ダンケルク』のプロデューサー、エマ・トーマスが本作についてコメントを寄せた。

 本作は、ノーラン監督が初めて実話に挑んだ戦争映画。海の町ダンケルクに追い詰められた英仏軍40万人を救うため、民間船もが救助に関わった、史上最大の救出作戦を描き出す。

 トーマスは、プロデューサーとして、そしてパートナーとして、20年間にわたってノーラン監督と映画人生をともに歩んできた人物だ。ロンドン大学を卒業後、大手映像制作会社ワーキング・タイトル・フィルムズの受付からキャリアをスタートさせ、のちに同社の生産部門で経験を積んだ。1997年、ノーラン監督と結婚したトーマスは、2人で『フォロウィング』から最新作『ダンケルク』まで、ノーラン作品をすべて手がける映画制作会社SYNCOPYを設立した。

 トーマスは映画製作について「企画、撮影そしてマーケティングまで、映画のありとあらゆる面で関わるという、創造的かつ事務的という2つの側面を持つこの仕事を愛している」と語り、「私の仕事は監督のビジョンを映像にする手助けをすること。色々な意味で雑音を取り除いているので、監督が無駄なことに気を散らす心配はないの」と、“あくまで監督を支える立場である”という謙虚さと、仕事へのプライドをのぞかせる。そんなトーマスについてノーラン監督は「彼女の意見はすべて取り入れる。決して議論になることはないし、仕事を家に持ち帰ることはない」と、プロデューサーとして、そして妻として全幅の信頼を置いていることを明かす。

 『ダンケルク』の構想は1990年代半ば、ノーランとトーマスが友人とともにダンケルクの港からドーバー海峡を渡る旅から始まった。19時間に及んだ航海について、ノーラン監督は「誰も私たちを爆撃することもないのに、とても困難な航海だった」と振り返り、「あの独特の地形を描くには、どんな難問にぶち当たろうともあそこで撮影しなければならない」と決断。困難の連続だった史実と同じ浜辺での撮影について、トーマスは「撤退作戦で重要な役割を果たす防波堤は、ダンケルクの中でも際立つ特徴なので復元しなければなりませんでした。けれど激しい嵐で、翌朝撮影に行くと防波堤がどこかに流されていたこともありました」と撮影時の苦労を語っている。さらに、「私が当時のことを本当に痛感したのは、悪天候の浜辺での撮影が続き、くたくたになった時でした。でも、私たちが誰かに攻撃されることはないし、夜になれば暖かいベッドで眠れる。あの浜で、兵士たちがどれだけ大変だったかを改めて考えさせられたわ」と、当時の人々がおかれた状況に思いを馳せた。

 作品の企画から撮影、完成後のプロモーションまで手がけるトーマスは、3男1女の母としての顔も持つ。「映画製作が素敵なことは、すべての作業にサイクルがあること。撮影中はとても忙しいけれど、編集作業中は家族に色々なことができる。子供たちを仕事場に連れて行くこともできるしね。9時から17時まで働く仕事ではないけれど、どんな仕事をしていても、時間は平等だと思うわ」と、仕事と家族とのプライベートを楽しんでいる様子も見せた。

■公開情報
『ダンケルク』
監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
出演:フィオン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイルズ、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、マーク・ライランス、トム・ハーディほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:dunkirk.jp

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