立川シネマシティ・遠山武志の“娯楽の設計”第17回

シネコンは“アートスペース”にもなれる? 立川シネマシティ『映画 聲の形 inner silence』の挑戦

 本当はもう少しツッコんだことを書きたいのですが、すでに十分長いのと、退屈なものになりそうなので、このへんで。

 締めにこの連載らしいことを書くのならば、映画館はアートの表現場所にもなり得るということです。そもそも映画もアートだろうということもありますが、それは映画という枠の中のアートであって、メタフィジカルな、映画の枠の外に出た映像(または音楽)アートの表現場所としての映画館、というのもアリだということです。アリ、というか、映画館でしかできないタイプのアート表現だってあるはず。「inner silence」版上映はまさにそれです。自宅ではおそらく気が散って2時間まともに鑑賞するのも困難でしょう。この表現にとっては音質・音量と「場」の強制性がかなり重要なファクトであるはずです。

 ここでシネマシティで過去に行った音楽ドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリーズ3D』を、音声をオフって、スクリーン前で実際のミュージシャンに音楽を演奏してもらって再現する、という実験的上映を行った『フラッシュバックメモリーズ4D』という、これまた非常にアート性の高かったイベントについても書こうかと思いましたが、それはまたの機会に。

 映画館は、先鋭的なアートスペースにもなれる。
 You ain't heard nothin' yet !(お楽しみはこれからだ)

(文=遠山武志)

■立川シネマシティ
映画館らしくない遊び心のある空間を目指し、最高のクリエイターが集結し完成させた映画館。音響・音質にこだわっており、「極上音響上映」「極上爆音上映」は多くの映画ファンの支持を得ている。

■イベント情報
『映画 聲の形 inner silence』
6月24日(土)ロードショー
(終了日:6月24日(土))
特別料金■1,800円均一 ※各種割引なし
(C)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会
https://res.cinemacity.co.jp/TicketReserver/studio/movie/1124

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