門脇麦×清水崇監督が語る、『こどもつかい』の新たな挑戦 門脇「恥ずかしさを払拭するのには時間がかかった」

門脇「最初は“なんで私なんだろう……”とすごく不安だった」

ーー門脇さんは恋人・駿也役の有岡大貴さんとの共演シーンが多いですが、共演してみていかがでしたか?

門脇:有岡さんはすごく人見知りな方で、最初の2〜3日はほとんど喋ってくれなかったんですよ。なので、私がインタビュアーみたいになって、「趣味は何ですか?」とか「休日は何をしているんですか?」とか、ずっと質問攻めをしていました(笑)。でもすごく気を配ってくれて、軽やかさのある方なんですよね。器用なところもあるんですけど、不器用なところはすごく不器用で、そのバランスがチャーミングだなと思いました。

清水:有岡くんって、童顔だけど、それを自ら使いこなしてる。だから、そんな見た目も含めて駿也の大人になりきれない感じや、恋人にもすべてを出しきれない感じに繋げて、中身は後から見えてくれば…と思ったんです。僕自身も背が低いだけで見られ方のギャップを感じてきたし。それこそ麦ちゃんが子供に対して苦手感があるとわかった時、最初はどうしようかなとも思ったのですが、それが尚美の背景も含むキャラクターに繋がったし、2人の程良い緊張感のバランスに持ち込むべきだと取り組みました。

門脇:隠すのは無理だったので、そういう役どころにしていただいて良かったです(笑)。

ーー3Dや4DXなど常に新たなホラーの映像表現に挑んでいる清水監督ですが、今回は久々の2Dというオーソドックスなスタイルですね。

清水:3Dとか4DXとかVRみたいな新機軸の技術が出てくると、必ずホラーやAVのようなものに目を当てられるんですよね。それは「怖い!」とか「エロい!」とか、わかりやすく本能的な刺激に根差しているからで。昔から、何か新しい技術や手法が出てくると、世に浸透させるために、使われるんです。正直、僕自身はあまり興味がないので、いつも断るんですよ。でも、断っても断ってもそういう話がくる(笑)。もちろん嬉しいお話なんですけどね。考えを改めて、僕自身はアナログ人間なので、逆にこれはチャンスだと思って、自分が乗り気じゃないものにも乗っかって、何かを見つけていこうとしないと新しいものが作れなくなるかもと不安になるのも事実だし、挑戦は好きなので、なるべく取り組んでいこうと気持ちを改めて臨んでいます。

ーーとはいえ今回、日本映画では珍しいダークファンタジーというジャンルに挑戦されていますね。

清水:僕の中では、ホラーとファンタジーは同一線上にあるような気がしているんです。もちろん「わかりやすいかたちで怖くしてほしい」というプロデューサーたちの意見もわかるんですけど、ホラーも一昔前と違って市民権は得てるし、世代も交代してる。差別されてこそなんぼだったホラーにジャニーズの方が出る時代ですからね。さすがにただワーキャーするだけのホラー映画を作るのは恥ずかしいし、失礼だなと。ホラー映画の中でこその、現実に則したドラマを感じてほしいなと。

門脇:それこそ私の勝手なイメージなんですけど、ホラー映画って、若い女の子の登竜門というか、今後期待の子たちが出演する通り道みたいなイメージがあって。だから最初は「なんで私なんだろう……私がワーキャー言ったってなんの需要もないのに……」という感じですごく不安だったんです。でもこの作品の台本を読んだ時に、ドラマ部分がすごくしっかりしていたんですよね。お話自体にもいろいろ感じるところがたくさんあって面白かったので、ホラーと思わなくていいんだと安心して撮影に臨めました。強いていうなら、他の作品の撮影と違ってリアクションが多かったので、恥ずかしいという思いを払拭するのには時間がかかちゃいましたけど(笑)。

清水:その通りです。みんなもちろん恥ずかしいんですよね。ホラー映画って怖がらせる側も怖がる側も、普段よりオーバーにやったほうがいいんだろうかとか、普段はこんな驚き方しないけどリアリティなくていいのかなみたいな感じは、見ていてすぐわかります。その辺が違ったら僕は率直に言うのですが、門脇さんは無理がなくめちゃくちゃ自然でしたね。

門脇:それは良かったです。無理をするとすぐにバレてしまうので(笑)。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『こどもつかい』
全国公開中
出演:滝沢秀明、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、門脇麦、尾上寛之、河井青葉、田辺桃子、中野遥斗、玄理、山中崇、吉澤健、西田尚美
監督:清水崇
脚本:ブラジリィーアン・山田、清水崇
音楽:羽深由理
製作:「こどもつかい」製作委員会
企画・配給:松竹
制作プロダクション:松竹撮影所、東京スタジオ
(c)2017「こどもつかい」製作委員会
公式サイト:http://kodomo-tsukai.jp/

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