星野源は“ダメ人間”を演じるのが得意? 今夏放送『ドラマW プラージュ』への期待
星野源が、今夏WOWOWにて放送される新ドラマ『連続ドラマW プラージュ』に主演することが発表され、大きな話題を呼んでいる。
同ドラマは、『ストロベリーナイト』『武士道シックスティーン』などの作品で知られる人気作家・誉田哲也の同名小説をドラマ化したエンターテインメントミステリーで、訳ありの人物ばかりが住むシェアハウスを巡る“再生”の物語を描く。
星野が本作で演じるのは、仕事で失敗続きのうえ好きだった女子にも相手にされず、憂さ晴らしに出かけた先で、よくわからないまま打たれた覚せい剤使用で逮捕されてしまった、元旅行代理店の営業マン・吉村貴生。執行猶予中、再就職が決まるまでと軽い気持ちでシェアハウス“プラージュ”に住むことになるが、さまざまな過去を背負い、居場所を失った厄介者の住人たちが起こすトラブルに巻き込まれていく役柄だ。
ミュージシャンとして活躍しながら、役者としても高い評価を受ける星野だが、無類のドラマフリークのライター・麦倉正樹氏は、彼の役者としての魅力を以下のように分析する。
「星野源の役者としての魅力は、いわゆる“普通の人”を自然に演じられる点にあるでしょう。初主演映画『箱入り息子の恋』の天雫健太郎役や、さらに人気に火がつくきっかけとなった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の津崎平匡役などがそうですが、人として立派ではない、人間としての弱さや小物感のある、“スキがある”人物の役で存在感を示してきました。その弱さや小ささ、少しダメな等身大なところが、可愛さや共感性に繋がっているのだと感じます。ダメな人がダメな役をやったら本当にダメになってしまいますが、彼の場合、ダメな役をやっても許せてしまう、非常に貴重な存在。そこが評価に繋がっているポイントでもあるのではないでしょうか。今回彼が演じる吉村も、根っからの悪者というわけではなく、ある事件に巻き込まれてよくわからないことになってしまった人物。“前科者”というのは刺激的ですが、“巻き込まれる”という点では、彼の役者としての魅力が引き出されるこれまでの役柄に繋がる設定では。割と重い社会派ドラマのような面もありますが、そこで彼のひょうひょうとした独特の雰囲気がバランスとしてうまく機能すれば、非常に面白いドラマになると思います」
また、同ドラマが放送されるのが、WOWOWの『ドラマW』枠という点でも期待ができると同氏は続ける。
「『ドラマW』の枠ではこれまで、黒沢清(『贖罪』)や青山真治(『贖罪の奏鳴曲』)、犬童一心(『夢を与える』)などの映画監督を起用し、人気作家の小説を中心にドラマ化してきました。いろいろと制限のある地上波では放送できないところまで踏み込んだ、まるで海外ドラマのようなプロットやキャスト、クオリティなどが『ドラマW』の魅力とも言えます。今回も、井筒和幸監督の作品で助監督を務め、昨年公開された橋本愛主演映画『バースデーカード』で高評価を得た吉田康弘が監督なので、その点でも期待できます。星野源と吉田監督は年も2歳しか離れていないので、未来に不安を抱いていたり、希望の持てない若者たちの雰囲気を知っている同年代の2人ならではのものが生まれる可能性もありそうです」
さらに、現時点では発表されていない共演者がポイントになると同氏は分析。