姫乃たまのウワサの濡れ場評012『 劇場版 BiS 誕生の詩/カンパニー松尾監督』『WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩/エリザベス宮地監督』

アイドルを殺しているのは、アイドル自身ーー姫乃たま、BiS誕生&SiS消滅ドキュメンタリーを観る

アイドルを殺しているのは、アイドル自身

 BiSに加入したい女の子は、何を考えているのでしょう。劇中のインタビューで彼女達は、「ずっと生活が物足りなかった」「普通じゃ嫌だった」「面白いことの渦中にいたい」と話しています。

 しかし、追い詰められた状況下の彼女達は、プロデューサーの渡辺淳之介さんに認められたいということを、しばしば口にしていました。合格への近道になるからかもしれませんが、それにしても渡辺さんは魅力的な人物で、SiSが解散する原因も、スタッフの男性が「渡辺さんに嫌われたくなかったから」という理由で、過去の不祥事をひた隠しにしていたことから起きてしまったほどです。

 

 私はアイドルのライブ会場で女性専用席を見ると、女性が優遇されているのか、男性同士が心置きなく盛り上がるためなのか、わからなくなることがあります。このふたつの映画を観ていると、同じような気持ちになります。しかし、そうした男子校的な世界への憧れや、過酷な状況下で目標に向けて追い詰められたい欲望は、わかる気がします。多分。

 撮影に行き詰まった監督が、公園で外飲みしているお姉さん達に、「アイドルになりたい子ってどんなイメージ?」と聞いていました。ひとりはすぐに「変態!」と叫び、片方は「アイドルになれる容姿があるなら、一般人でいたほうが可能性が広がっている」と話していました。正論だと思います。アイドルを殺しているのは、アイドル自身でしょう。

 

 両方の作品を見て、一番強く思ったのは、とにかく焼き肉が食べたいなあということです。どんなに辛いことがあっても、どんなに納得いかないことがあっても、どんなに格好悪くても、いつかお腹は空くし、お腹がいっぱいになれば、またみんなで笑うこともあって、人生ってなんかそんなものですよね。

 でも、みんな焼き肉食べ過ぎ!

■姫乃たま(ひめの たま)
地下アイドル/ライター。1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を軸足に置きながら、文筆業も営む。そのほか司会、DJとしても活動。フルアルバムに『僕とジョルジュ』があり、著書に『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。
ウェブサイト ■ https://himeeeno.wixsite.com/tama
Twitter ● https://twitter.com/Himeeeno

『劇場版 BiS誕生の詩』 予告編
『劇場版 BiS誕生の詩』ポスター 『WHO KiLLED IDOL ? -SiS消滅の詩-』ロゴ

■公開情報
『劇場版 BiS誕生の詩』
1月28日(土)よりポレポレ東中野にて1週間限定レイトロードショー/連日トークショー開催
監督:カンパニー松尾
プロデューサー:高根順次
出演:BiS、BiSオーディション参加者、渡辺淳之介、清水大充、エリザベス宮地、高根順次、カンパニー松尾、バクシーシ山下、ビーバップみのる、タートル今田、嵐山みちる、梁井一
2017年/ 87分/HD/16:9/日本/ドキュメンタリー
企画・製作・著作・配給・宣伝:SPACE SHOWER FILM

『WHO KiLLED IDOL ? -SiS消滅の詩-』
2017年2月4日~24日テアトル新宿(3週間限定レイトショー)ほか、下記劇場でも順次公開予定
名古屋シネマスコーレ、京都立誠シネマ、神戸元町映画館、広島横川シネマ
監督:エリザベス宮地
出演:BiS、SiS、GANG PARADE、渡辺淳之介、清水大充、エリザベス宮地、高根順次、バクシーシ山下、ビーバップみのる、タートル今田、梁井一、嵐山みちる、カンパニー松尾
プロデューサー:高根順次
企画・製作・著作・配給・宣伝:SPACE SHOWER FILMS
2017年/105分
公式サイト:killidol.jp

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