高梨臨は“頼りになる”ヒロインだーー小栗旬の“悪の体現”支えた『代償』の演技

 

 考えてみれば、高梨臨は見るたびに印象が変幻する女優だ。わたしはアッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』と、石井岳龍監督の『生きてるものはいないのか』で、初めて彼女を認識したが、それ以後、観たどの映画やドラマでも、高梨の女優としての肌ざわりは違っている。自己表現として役を消化するのではなく、言ってみれば、作品と心中する覚悟で、滝に飛び込むような度胸が、この女優には感じられる。

 『代償』において、高梨は、ヒロインがどのような局面を迎えていても、“不動”のたたずまいで、小栗を支え、ドラマを支えている。壊れてしまいようなスリルも、土台がしっかりしてないければ、心底楽しむことはできない。頼りになる女優、高梨臨。次は、どんな作品で、どんなふうに、演技という“柱”を立ててくれるか。楽しみにしたい。

『代償』高梨臨インタビュー:http://realsound.jp/movie/2016/11/post-3191.html

■相田冬二
ライター/ノベライザー。雑誌『シネマスクエア』で『相田冬二のシネマリアージュ』を、楽天エンタメナビで『Map of Smap』を連載中。最新ノベライズは『追憶の森』(PARCO出版)。

■作品情報
Huluオリジナルドラマ『代償』
第1話、第2話配信中
※11月25日(金)より第3話の配信スタート
監督:後藤庸介、村上正典
出演:小栗旬、高橋努、淵上泰史、柳英里紗、栁俊太郎、高梨臨など
原作:伊岡瞬 『代償』(角川文庫)
製作著作:HJホールディングス
『代償』公式サイト:http://drama-daisho.com/

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