相楽樹『とと姉ちゃん』次女役でシンデレラガールへ 伊藤淳史との瑞々しい恋模様を振り返る

 家長の常子と、要領のいい美子の間に挟まれて育った鞠子は、真面目で頭はいいのだが、おとなしい性格もあってか、いつも割を食っていた。そんな鞠子は、自分と同じように真面目で堅実だが、どこか頼りない水田に対し、心配しながらもひかれていく。その姿は、昔の邦画のヒロインのようで実に瑞々しい。高畑充希と杉咲花という達者な女優が両隣にいるために埋もれがちだが、薄味であっさりとしているからこそ、相楽樹の演技は瑞々しいものがあり、安心感を持って見ることができる。

 相楽樹は2010年のテレビドラマ『熱海の捜査官』(テレビ朝日系)で女優デビューをし、その後はグラビアやCMなどで活躍してきた。女優としては中々代表作に恵まれなかったが、鞠子を演じたことでシンデレラガールとなった。本作終了後には様々なオファーがあることは間違えないだろう。おそらく単独主演を果たす日もそう遠くはないはずだ。

 出版社が軌道に乗りはじめてから、常子たちの日常は少しずつだが豊かさを取り戻しはじめていた。それに伴いともない、東堂チヨ(片桐はいり)や森田宗吉(ピエール瀧)といった人々も再登場しており、次週は、かつて常子にプロポーズした星野武蔵(坂口健太郎)が再登場する。星野との再会は、常子に何をもたらすのだろうか。

 平塚が言うように、人も時代も着実に変わりつつあった。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■番組情報
『とと姉ちゃん』
平成28年4月4日(月)〜10月1日(土)全156回(予定)
【NHK総合】(月〜土)午前8時〜8時15分
[再]午後0時45分〜1時ほか
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/totone-chan/

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