北村匠海、次世代の“演技派”として頭角を現した背景ーーたしかなキャリアと複雑な役どころに迫る
同じく今年はドラマ『ゆとりですがなにか』の3話と4話にも出演。彼女を松坂桃李演じる山路にとられたと思い、彼女と山路の務める学校に乗り込む若者を演じた。漢字も満足に読めず、彼女の携帯をパスワードを0000から順番に解読してまで見るようなストーカー体質で、しつこく山路に迫り、山路に大声で「うっせー童貞は黙ってろ!」と怒鳴る。ともすれば大げさなシーンが多かったが、それを、コミカルかつ、ドラマの中でそこだけ浮くこともなく絶妙なバランスで演じていた。
これらの作品で、岡田将生や柳楽優弥との共演が多いのは、もちろん事務所が同じということもあるだろう。『ディストラクション・ベイビーズ』では、兄弟を演じ、しかもどことなく雰囲気が似ているため村上虹郎が柳楽のフォロワーのようなイメージを持った人も多いことだろうが、北村もまた、事務所の先輩である岡田将生の子役時代を演じたこともあり、岡田の繊細ながらもちょっと普通とも言い難いという路線を引き継ぐことも考えられる。
しかし、同時に荒々しく退廃的な柳楽の路線も引き継いだような役もある。そんな風に、さまざまな役を演じながら、今以上に自分の味を見つけていくのではないだろうか。
(文=韮澤優)