市原隼人、いつから“不倫ドラマ”似合う大人の俳優に? その大胆な変化を辿る

 ただ、そんな市原も2015年の『極道大戦争』では、やや心境の変化があったようだ。ヤクザでヴァンパイアものという三池崇史監督特有のぶっ飛んだ世界感に付いていくためか、その時のインタビューでは、「昔は『俺はこうだ』というアイデンティティを強く意識していたのですが、それを捨てられるようなプライドが出てきましたね」「今まで感情的になっていたものが、すごく俯瞰で見られるようになった」(「TOKYO POP LINE」2015年10月22日より)と、演技への姿勢が変わったことを示唆するような発言を残している。

 その後、役者としてスタンスが変わってきているのは、近年の演技を見ても明らかだ。先月公開された『星ガ丘ワンダーランド』ではゴミ集積所で働く男役として、過去に悩む主人公の良き理解者を演じた。そして門馬直人監督作『ホテルコパン』では生徒を死なせてしまった元教師役を演じた。『リリイ・シュシュのすべて』のイジメられていた役から、イジメから救えなかった役へと立場が変わったとは言え、その内省的な役は原点回帰でもあり、また年齢とキャリア重ねてきたからこそ、より深みのある演技に繋がったと言える。これは、市原自身がプライベートで父親になった影響も大きいのかもしれないが。

 子犬のようなあどけない少年から熱血漢のやんちゃな青年へ、そして今では渋みのあるアダルトな雰囲気を醸し出すまでに成長した市原が、『不機嫌な果実』では、どんな大人の不倫劇を見せてくれるのか。今まで実直というイメージが強かったからこそ、視聴者の予想をいい意味で裏切る、ドロドロの恋愛劇に期待したい。

(文=本 手)

■ドラマ情報
『不機嫌な果実』
4月29日(金)23時15分からテレビ朝日で放送開始
出演:栗山千明、市原隼人、稲垣吾郎、萬田久子
脚本:江頭美智留
原作:林真理子
公式サイト:http://goo.gl/6mrtxW

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