『いつ恋』も『ダメ恋』もハッピーエンドに 冬ドラマ最終回の“傾向”を読み解く
連ドラはこのままハッピーエンドばかりになってしまうのか? その答えはノー。少なくとも私が取材する限り、制作サイドは「ハッピーエンドは1つの形に過ぎない」という意識を持っているし、「それが定番になりすぎると、予定調和でハラハラドキドキのない作品ばかりになってしまう」と危惧している。
おそらく「今は視聴者の反応を見ながら、試行錯誤をしている」という段階なのだろう。だからこそ視聴者としては、ハッピーエンドではない結末に批判の声をあげるだけではなく、制作サイドの思いや工夫を考えるゆとりを持ちたいところ。そんな姿勢こそが制作サイドの意識を高め、作品の質を高めることにつながるからだ。また、そもそも「結末が予想できない作品があるからこそ、定番のハッピーエンドが際立つ」ということも忘れてはいけない。
ここまで連ドラの結末にクローズアップして書いてきたが、今期は視聴率こそ低調だったものの、多彩なジャンルの良作が多かった。ここ数年間、一話完結の痛快さを売りにした作品が増えるなど、画一的になりがちだった連ドラ界に多様性を取り戻してくれたような気がする。各局には、現代の指標としては疑問の残る視聴率にとらわれすぎず、見応えのある作品を手がけてほしいと切に願う。
■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。