嵐メンバー、俳優として“転換点”へ それぞれの役柄の変化を読む
嵐メンバーの俳優としてのあり方に、大きな変化が生まれている。
メンバー中、連続ドラマで最もはじめに変化の兆候を見せたのは、相葉雅紀だ。2015年に主演した『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ)はサスペンスタッチのホームドラマで、相葉は臆病者ながら果敢に問題解決しようとする青年役を演じた。嵐のメンバーのなかでもバラエティ番組での活躍が多い相葉は、これまで「見守っていたい」と思わせる柔らかい性格の役柄が中心だった。連続ドラマ初主演を務めた『マイガール』(テレビ朝日)の笠間正宗や、『三毛猫ホームズの推理』(日本テレビ)の片山義太郎などは、まさにそういうタイプの主人公だった。しかし、『ようこそわが家へ』で演じたのは身近に感じられる庶民的な人物像でありながら、精神的な強さも持つ青年であり、相葉の新たな一面を見ることができた。30代のアイドルとして、どうあるべきかを示した作品だったといえよう。(参考:嵐・相葉雅紀の演技が評価を高めている理由とは? 『ようこそ、わが家へ』好調の背景を読む)
3月4日に行われた第39回日本アカデミー賞で、最優秀主演男優賞に輝いた二宮和也もまた、変化の時期を迎えているようだ。受賞作の『母と暮せば』は山田洋次監督、吉永小百合主演で昨年12月に公開された。二宮は、1945年の終戦から3年経った長崎を舞台に、亡霊として登場する吉永小百合の息子役として出演し、ユーモアを愛する明朗な青年を好演した。戦争を題材にした映画は『硫黄島からの手紙』(2006)以来の出演である。そのほか、昨年12月28日に放送された『赤めだか』(TBS)や今年1月3日に放送された『坊ちゃん』(フジテレビ)など、特に過去の時代を舞台にしたドラマで二宮の高い演技力が発揮されている。ドラマ評論家の成馬零一氏が指摘するように、30代前半の二宮がこれまで持ち味としていた“青年役”の演技を活かすために、こうした題材が選ばれているのではないだろうか。(参考文献:嵐・二宮和也が『母と暮せば』『赤めだか』『坊っちゃん』で示した、俳優としての真価)
松本潤は、4月からTBS系日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士-』に弁護士役で主演する。2014年に主演したフジテレビ系連続ドラマ『失恋ショコラティエ』以来のドラマ出演となる。これまで『きみはペット』、『花より男子』(いずれもTBS)や映画『僕は妹に恋をする』(2007)など、少女漫画原作の実写作品への出演が目立ち、原作のキャラクターを想起させる圧倒的なオーラが高評価を得ていた松本。次回出演ドラマでは、専門用語を多分に含んだ論理的なセリフと、知性を醸し出す芝居が予想される。「今回の作品は新たなチャレンジになると思っています」と本ドラマの公式サイトで松本が語るように、近作の『ラッキーセブン』(フジテレビ)で見せた男らしい役や『失恋ショコラティエ』で見せた草食系男子とは違う一面が見れそうだ。(引用:『99.9-刑事専門弁護士-』公式サイト)また、同じ弁護士役で出演が決定している香川照之や榮倉奈々は、時に主演を喰ってしまうほどの実力派。演技派キャストのなかで松本がどう存在感を示していくのかに注目したいところだ。(参考:嵐・松本潤は弁護士役をどう演じる? 『HERO』木村拓哉に匹敵できるか)