二宮和也『赤めだか』、東山紀之『信長燃ゆ』……年末年始のスペシャルドラマを一挙紹介!

 さて、個人的に最も楽しみにしているのは、1月2日(土)21時から放送される、新春スペシャルドラマ『富士ファミリー』(NHK総合)です。『野ブタ。をプロデュース』(2005年)などで知られる人気脚本家・木皿泉が久しぶりに書き下ろしたオリジナル作品であるこのドラマ。その舞台となるのは、富士山のふもとにある、小さな食料雑貨店です。そこには、近所でも評判の美人三姉妹がいて……長女・鷹子(薬師丸ひろ子)、次女・ナスミ(小泉今日子)、三女・月美(ミムラ)。物語はこの3人と、彼女たちを取り巻く人々を中心に展開していくようです。NHK曰く、「ちょっと変わった大家族の物語」なのだとか。片桐はいり、高橋克実、吉岡秀隆など、共演者たちも実力派ぞろい。ところで、薬師丸ひろ子と小泉今日子と言えば、連続テレビ小説『あまちゃん』が思い起こされますが、なるほど、本作の演出を担当しているのは、『あまちゃん』と同じく吉田照幸。木皿泉と吉田照幸は、果たしてどんな化学反応を起こすのでしょう。ちなみに、オンエア前日である1日(金)18時5分からは、『コトバのお年玉~薬師丸ひろ子×小泉響子×有働由美子の初夢トーク~』と題した特別番組もNHK総合で放送されるとのこと。こちらも合わせてチェックしておきましょう。

 そして、三が日の最後、1月3日(日)21時には、新春ドラマスペシャル『坊っちゃん』(フジテレビ)が登場します。夏目漱石の名作『坊っちゃん』をドラマ化した本作。これまで、『坊っちゃん』は何度も映像化されていますが、意外にも今世紀に入ってからは初なのだとか。ちなみに、2016年は夏目漱石没後100年にあたります。そんな記念すべきタイミングで、主人公「坊っちゃん」を演じるのは、年末の『赤めだか』に続き、スペシャルドラマの主演が続く二宮和也。現在上映中である山田洋次監督の映画『母と暮らせば』も含めて、「役者・二宮和也」のちょっとしたラッシュです。そんな二宮「坊っちゃん」のほか、彼の同僚「山嵐」役を古田新太が、「うらなり」役を山本耕史が、そして「赤シャツ」役を及川光博が務めるなど、これまでありそうでなかった共演が実現。「坊っちゃん」という愛称の名付け親である女中「清」を宮本信子が演じていることにも注目です。なお、2015年、小説『火花』で一世を風靡した又吉直樹が、「夏目漱石」役で出演していることも、最近になって発表されました。ちなみに、脚本を担当するのは、『僕の生きる道』(2003年)など「僕三部作」や『ゴーストライター』(2015年)で知られる脚本家・橋部敦子。演出は、木村拓哉主演のドラマ版『HERO』(2015)の演出はもちろん、昨年公開された映画版では、監督も務めた鈴木雅之が担当。実に手堅い布陣です。

 最後に触れておきたいのは、1月4日(月)21時から放送される、『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』(フジテレビ)。湊かなえ、三浦しおん、角田光代という3人の女性作家の短編小説を、永作博美、土屋太鳳、鈴木京香という3人の女優を主演に迎えてドラマ化した、オムニバス形式の作品です。ここで注目すべきは、「ムーンライト」(湊かなえ)、「炎」(三浦しおん)、「平凡」(角田光代)という3編を、3人の映画監督たちが演出している点でしょう。「神様のカルテ」シリーズの深川栄洋(「ムーンライト」)、『軽蔑』(2011年)、『さよなら歌舞伎町』(21015年)、『ストロボ・エッジ』(2015年)など幅広い作風で知られる廣木隆一(「炎」)、全278分という大作『ヘヴンズ ストーリー』(2010年)、映画版『64-ロクヨン-』の公開も控えている瀬々敬久(「平凡」)が、それぞれ担当。いずれも、「女性」の描き方については、こだわりのある監督であるだけに、その仕上がりが注目されます。

 さて、そのあたりの週からは、1月クールの連続ドラマも徐々に始まるので、そちらの見どころについては、また機会を改めてご紹介していきたいと思います。それではみなさま、良いお年を!

(文=麦倉正樹)

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