ジャニーズJr.・高田翔、なぜ演技で売れっ子に? “元気がないアイドル”の強み

 そんな高田翔だが、ジャニーズ入所当初から演技のみで仕事をしてきたわけではない。過去には、若手のジャニーズグループや、ジャニーズJr.が出演する『ザ少年倶楽部』でダンスや歌を披露したり、滝沢秀明主演の舞台『滝沢革命』や『滝沢演舞城』、ジャニーズが主演を務め、ジャニーズJr.も多数出演しているミュージカル『PLAYZONE』にも出演経験がある。しかし、本人いわくダンスや歌はそれほど得意ではないようだ。2015年10月22日に放送された日本テレビ『ダウンタウンDX』にゲスト出演した際には、「踊りもやらず、バク転もしない」と話しており、「東京ドームは広くて、走るのがしんどい」と、ジャニーズらしからぬ発言もあった。MCを務めるダウンタウンの浜田雅功から「やめてしまえ! もうええわ!」と言われ、同じくゲスト出演していた小籔千豊からは「覇気がない!」と喝を入れられるほど、高田にはいわゆる“アイドルらしさ”が欠けているのだった。しかし、そんな”元気がない”姿が、いかにもジャニーズ的なギラギラ感とかけ離れているからこそ、ファンは親近感を覚えるようである。

 さらに、ファンの間では雑誌などで見せるくしゃっとした笑顔も好評である。そんな笑顔が多く見られるのが、今季クールドラマで出演中の2作品だ。両作とも、明るくお調子者でおっちょこちょい、憎めないキャラクターを演じており、その特徴的な笑顔をたっぷりと堪能できる。似た雰囲気を持つ二役ではあるが、『サイレーン』では刑事役、『青春探偵ハルヤ』は学生役と明確な違いもある。『サイレーン』では個性的な刑事に囲まれる分、キャラクターを抑えて場面に馴染んでいるが、『青春探偵ハルヤ』では主役のハルヤ(玉森裕太 Kis-My-Ft2)の親友であり、ハルヤの探偵業にも加担するなど出演機会が多く、冷静で頭が良いハルヤとは対照的でキャラクターが引き立っている。最終回直前の第9話では、おばあちゃん想いで一途な一面も見せ、お調子者で臆病な普段とは一変、ハルヤとぶつかるシーンもあった。しかし、自分からカッとなったにも関わらずオロオロしてしまう様子や、言いたいことを言い放った途端、その場からドタバタと逃げ出してしまうなど、「こういう人、いる!」と思わせる要素が多数含まれており、共感した視聴者も多いはずだ。

 ジャニーズらしからぬ肩の力が抜けた高田翔だからこそ、どこにでもいそうな似た雰囲気を持つ二役を、細かな違いで見事に演じ分けられるのだろう。また、物語をかき回す三枚目キャラは、あらゆる作品に必要なポジションでもある。高田が実力派の役者として、ジャニーズタレントの枠を越えた活躍を見せてくれる日は近そうだ。

(文=小島由女)

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