戌井昭人『おにたろかっぱ』が第14回河合隼雄物語賞を受賞 崖っぷちミュージシャンと3歳の息子の旅を描く長篇
戌井昭人の長篇小説『おにたろかっぱ』(中央公論新社)が、第14回河合隼雄物語賞を受賞した。
河合隼雄物語賞は、一般財団法人河合隼雄財団が主催し、人のこころを支えるような物語をつくり出した優れた文芸作品に与えられる賞。選考委員は岩宮恵子、小川洋子、松家仁之の3名が務めた。
『おにたろかっぱ』は、『読売新聞』夕刊にて2024年2月26日から2025年2月4日まで連載された作品で、2025年9月19日に中央公論新社より刊行された。海沿いの街の一軒家で、3歳のタロが父ちゃん、母ちゃんとともに暮らす日々を描く長篇。不思議なオニやカッパ、牛のぬいぐるみの「上田」が話し相手のタロは、最近ほとんど仕事のないミュージシャンの父ちゃんと最後の「どさまわり」に出ることになる。門司港、山口、広島、尾道、倉敷、京都を巡る崖っぷち歌手の父ちゃんとタロの旅と、成長していく子とのかけがえのない日々を描く。装画・挿画は多田玲子、装丁は池田進吾(next door design)が手がけた。
刊行後は読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、文藝春秋、週刊新潮など各紙誌、NHKラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」などで取り上げられた。
著者の戌井昭人は1971年、東京生まれ。文学座を経てパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げし、脚本を担当、出演もしている。2009年「まずいスープ」で芥川賞候補となり、その後も「ぴんぞろ」「ひっ」「すっぽん心中」「どろにやいと」で計4回芥川賞の候補となった。2014年に「すっぽん心中」で川端康成文学賞、2016年に『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞を受賞している。他の著書に『さのよいよい』『壷の中にはなにもない』『戌井昭人 芥川賞落選小説集』などがある。
■戌井昭人コメント
なんだか、河合隼雄物語賞は、「おにたろかっぱ」と相性が良いと勝手に思ってましたので、片思いにならず、受賞できて嬉しいです。どうもありがとうございます。
■書誌情報
『おにたろかっぱ』
著者:戌井昭人
装画・挿画:多田玲子
装丁:池田進吾(next door design)
価格:2,860円(税込)
発売日:2025年9月19日
出版社:中央公論新社