【漫画】やる気のないアイドル、どうレッスンする? 夢を掴んだものと諦めたものの対比を描く「グローイング」
夢を掴む者がいれば、夢を諦める者もいる――。オーディションに落ちた少女を主人公に据えた漫画「グローイング」がXに公開されている。
単行本『グリッタリング』に収録された本作は、表題作と対をなす、"失敗した側"から見た成長と再生の物語だ。作者・中陸なかさん(@nakaoka729390)に、着想から音楽との向き合い方、タイトルに込めた思いまでを聞いた。(小池直也)
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――本作の着想や制作のきっかけについて、教えてください。
中陸なか(以下、中陸):コミックスに同時収録されている表題作『グリッタリング』では、夢を追う少女たちを描きました。そのため編集さんと相談しながら、対になるような物語を作ろうと考えたのがきっかけです。
――オーディションに選ばれなかった女の子を主人公にしたのはなぜでしょう?
中陸:先ほどの『グリッタリング』は、オーディションを受ける側のストーリーです。だから、その逆側の物語にしました。主人公・梛月が「失敗してほしい」とまで思ってしまう相手である日依里が歌の得意な子だったため、梛月も歌に携わる人物としてボーカルトレーナーという設定にしています。
構造としては『グリッタリング』に登場する未浬と同じ努力型の子が、天才肌の子と出会って四苦八苦しながら成長していく物語にしようと思いました。
ーー音楽用語について「Aメロ」や「サビ」でなく「ヴァース」や「コーラス」と専門的に表現されているのが興味深かったです。音楽を描く上で意識されたことなどはありますか。
中陸:私自身は音楽業界に詳しくはありませんが、そのような専門用語を使って好きなアーティストの方が楽曲を解説されていて。それをきっかけに調べました。専門的な知識を網羅するのは難しいのですが、「表現する」という行為の根本は分野が違えど共通していると思うんです。
そこで「絵や漫画を描くときの感覚を音楽に置き換えるとどうなるのだろう?」と考えながら描きました。音楽やダンスの分野で表現されている方々のお話には、漫画制作にもつながる考え方や視点が多くあり、いつも刺激を受けています。
ーー中陸さん自身も音楽をやられていたり? 普段聞く音楽もあれば教えてください。
中陸:小さい頃にピアノを習っていた程度です。でも作品を作るときにはいつも音楽の力に助けられています。それなしでは描けなかったと思うコマが、本作にもたくさんあります。
淡々と作画を進めたい作画初期は、サティやモンポウのような静かなピアノ曲を聞きます。一方で作業が佳境に入ったときや音楽の力で気分を高めたいときは、気分を盛り上げるようなJ-POPのヒットソングを聞きますね。
ーータイトル「グローイング」に込めた意図とは?
中陸:梛月は一度夢を諦めていますが、これまで積み重ねた知識やスキルを活かして、別の形の自信を手に入れていくのだと思います。内側から輝ける人になってほしいという思いを込めて、このタイトルにしました。
ーー作画で気をつけていることなどもあれば知りたいです。
中陸:女の子を中心にしたお話なので、瞳の印象が強く残るように描くことを意識しました。
ーー本作が収録された『グリッタリング』がどんな作品か、作者目線からコメントをいただければ幸いです。
中陸:夢にまつわる「光」を、異なる角度から描いた作品集です。自分自身もアイドルが好きで、応援してきたなかで感じた共感や、その存在が放つ光に圧倒された記憶を思い出しながら描きました。読者の方それぞれが、どこか共感できる部分を見つけていただけたら嬉しいです。