LINEマンガ「インディーズ連載」漫画家から見たメリットは? おさなん、小山コータローが語る、自由な創作の魅力
プロ・アマ問わず誰でも自由にマンガ作品を発表できる「LINEマンガ インディーズ」にて、この春、新たに「インディーズ連載」が開始された。連載作は他の投稿作品と同様にすべて無料で読むことができる。本企画の特徴は、各作家が「LINEマンガ」から執筆支援を受けながら投稿機能を活用して連載を行う点で、商業連載と自主制作投稿のハイブリッドと言えそうだ。
今回、その第1弾連載陣に名を連ねる『かのんくんは、わたしの。』のおさなんさんと『クレイト!』の小山コータローさんにインタビューを実施。新たな場で連載を始めた手応えや、作品に込めた思いについて聞いた。(皆川潤喜)
作家から見たLINEマンガの「インディーズ連載」の魅力は?
ーー今回「インディーズ連載」で作品を発表するに至った経緯を教えてください。
おさなん:好きなように楽しくマンガを描いて、それを人に見てもらえて共感してもらえたら嬉しいなという気持ちで以前から「LINEマンガ インディーズ」と「pixiv」でマンガを公開していました。今回インディーズ連載の声をかけていただき、担当さんもつかず好きに描いていいとのことだったので、ありがたくやらせていただくことにしました。
小山コータロー(以下、小山):やっぱり自由に描けることです。チェックとかないですからね。自由に描けないとストレスで死んでしまいます。
ーー週刊もしくは隔週での連載が基本となります。締切という概念、縛りのプレッシャーは感じますか。
おさなん:プレッシャーはあまりないです。締切があるとやはり動くので、あるといいものだなと思います。個人で自由に描いているとまぁ来月でもいっか! となってしまうので。
小山:僕は本業があって朝7時に家を出て18時くらいに家に帰ってきます。そのあとからマンガを描き始めるのですが、お金にならないただSNSに勝手に掲載している1Pマンガはほぼ毎日1本描いてきました。だからまあ隔週ならなんとかなるだろう! と程よい緊張感でやらせてもらってます。
ーー今回の「インディーズ連載」では、基本編集者がつかず、各作家の裁量で作品を描かれているそうですね。編集者がいないからこそ注意しているポイントはありますか?
おさなん:描き手が楽しく描けば読者も楽しく読んでくれる論はあると思うので、あまり難しく考えずに描きたいものを出し惜しみせず描いていくようにしています。読者がいいなぁ、と思ってくれそうな部分を毎話いれるように意識はしています。
小山:普段の作品は仮想客が自分なのであまり意識してませんが、連載となると他者の評価をエネルギーにしないといけない面がどうしてもありますので、エゴを若干抑えめにライトに描くことをストレスにならない程度に意識しています!
連載作に込めた狙いと手応え
ーー各作品についても伺います。まず作品着想のきっかけを教えてください。
おさなん:今回こちらの描きたいものを描いていいというお話だったので、続きが気になるような話に挑戦したかったのと、私の好きな幼なじみという関係性をプラスして話を考えました。タイトルにだいぶ悩んだのですが、多少は印象に残りやすいものにできたかなぁと思っております。
小山:着想としては、基本的にキャラクターを固定したくなかったんです。マンガ業界はもうキャラクター至上主義で口をひらけばキャラクターキャラクターとそれしかいいません(笑)。そこでキャラクター以外の何かが形を変えて物語を引っ張っていくストーリーにしようと思いました。「8」にしたのは、今回のマンガが最低8ページという条件があったのと、自分の誕生日が8月28日であるのと∞(無限大)の形であることからそうしました! 形もかわいいですしね。
ーー制作の過程で「これはイケる」と手応えを感じた瞬間はありますか。
おさなん:「イケる!!」と思ったことはないのですが、私自身が楽しく描ければ同じように楽しく感じて下さる方はいるかなと思って話を考えています。
小山:イケるというか、こういう枷があった方がやる気になるのでルールを設けたことが自分にとっては良い瞬間でした。
ーー第1話で読者に何を感じてもらえたら成功だと考えていますか。実際に連載が開始されていかがですか。
おさなん:キャラクターに興味や好感をもっていただけたら成功かなと思っております。それでいうと1話はだいぶ導入という感じになっているので自信はないのですが、どんな話かわかりやすく描くことはできたんじゃないかと思います。
小山:あんまり何も感じないで欲しいです。面白かったけどなんだったんだろ……と思いながら、一瞬嫌なことを忘れて日常に帰ってもらえるのが良いですね。連載はいつか終わりますから、始まったということは、同時に終わるということが発生してるので悲しいです。泣きそう。
ーー制作にあたって大変だと感じる作業はありますか。
おさなん:話を考えるのは楽しいし、単純作業(コマ割り、ペン入れ)は好きなので、下書きが個人的には一番大変です。顔のアップのコマは特にきちんと下書きをするため気合がいるので……。
小山:絵を描くことです。アイデアは尽きませんが、それを形にする能力がないので大変です。
「幼なじみ」という関係の距離感
ーー続いて、個別に聞かせてください。『かのんくんは、わたしの。』では1話1P目の奏音(幼少期)、6P目の二人など、随所にキャラの印象的な表情やシーンが描かれていました。意識して強調されているかと思いますが、どのような工夫をしていますか。
おさなん:幼少期と今の違いを一つの魅力としているので、幼少期は思いっきりかわいく、今はきちんと男の子っぽさもあるけどキレイな顔、というのを意識しています。ひよりと奏音がしっかりとお互いの顔を見るところは大事なシーンだったので大きめに描きました。
ーーおさなんさんのキャラクターの描き方で、「照れ方」に特徴があるように感じました。ご自身としてこだわっている点はありますか。
おさなん:照れ顔が大好きなのですが、見てる側も少し恥ずかしくなったり、かわいいなと思ったり、目を奪われるような照れ顔を目指して日々精進しております。
ーー「幼なじみが好き」と公言されている通り、「近いけど遠い」関係性をよく描かれていますが、本作で意図を持って変えている点、逆に意識して変えないでいる点はありますか。
おさなん:幼なじみの関係性については、小さい頃~今までの思い出を共有している点が特に好きなのですが、今作は会っていない期間が10年程ある設定なので、昔の思い出はありつつも今はどんな人なのかわからない、そこを埋めていく、という点がいつもと意図的に変えたところです。短い話だと難しいですが、連載だったら描けるかなと思ってそうしました。
マンガでコントや漫才の表現をするには
ーー小山さんにも伺います。『クレイト!』しかり、小山さんの作品は漫才(お笑い)の素養が下地にあるギャグが特徴です。テンポ感を演出する上で大事にしていることはありますか。
小山:マンガが下手なので演出に自信はありませんが、説明しすぎないことですね。時にマンガでコントや漫才の表現をしようとするとセリフが少し多すぎてしまいますから、その辺は読者さんの能力を信じて少なめに間引いてます。
ーーセリフによるボケとツッコミを中心としつつ、アイテムを使った大胆なエピソード転換も小山さんの持ち味です。この形式を思いついたきっかけはありますか。
小山:勝手に自分の代表作だと思っている『絶対に終わらないギャグ漫画』という100Pの大作があるんですけど、そのマンガは3~4ページの短編の終わりのシーンと次の短編のシーンが映像的につながっていく仕組みになっています。それに近いものを作ろうと思ったことがきっかけですね。
ーー以前のインタビューで「日本語が好き」と答えていましたが、今と昔でセリフ・言葉の選び方は変わりましたか。
小山:昔のマンガを観るとやっぱりセリフに説明が多い気がします。不安なんでしょうね! 今はそれなりに説明しない方が自分としては面白いと思えば、その通りに描き切る身勝手さが身につきました。
ーー本作で意図を持って変えている点、逆に意識して変えないでいる点はありますか。
小山:わがままな作家ではありますが、わざわざお声がけいただいたことへの感謝は忠犬のようにピュアですので、エゴになりすぎず比較的内容はライトに分かりやすく描いているつもりです!
共に連載をする作家は「仲間」
ーー改めてお二人に伺います。「インディーズ連載」の第1弾は全8作品、4月から追加で2作品始まります。他の作品・作家さんはどういう存在でしょうか。やはりライバルでしょうか。
おさなん:新しく始まった企画なのと、まだ始まったばかりなのでライバルというよりは初期組で仲間、という気持ちでいます。なので勝手に愛着がわいて全作品本当に楽しみに読んでいるので全作品気になっております。
小山:普段マンガを読まないのでライバルとかはあまり思わないのですが、むしろ仲間というか、同志というか……僕ほんとマンガ家仲間いないんです。これを機に仲良くして欲しいです。
ーー読者の方にメッセージをお願いいたします。
おさなん:3月からインディーズ連載が始まった『かのんくんは、わたしの。』ですが、これから先ひよりと奏音の関係がどうなっていくのか、是非見守っていただけたら嬉しいです。ひよりと奏音を好きになってもらえるように楽しんで描いていきますので、よろしくお願いいたします。
他のインディーズ連載作品も面白いので是非全部読んでいってください。ここまで読んでいただきありがとうございました!
小山:こんにちは! マンガ読むってすごいめんどくさいのに読んでくれてありがとうございます! 僕もみなさんのこと読みますね。
■作品情報
『かのんくんは、わたしの。』
著:おさなん
作品を読む:https://manga.line.me/indies/product/detail?id=20391
『クレイト!』
著:小山コータロー
作品を読む:https://manga.line.me/indies/product/detail?id=20421
■「LINEマンガ インディーズ連載」の全作品はこちらから:https://manga.line.me/indies/tag_item/list?tag_id=1036438