宝島社が『smart』『SPRiNG』の世界観でアパレルブランドを展開 「出版社ならではの編集力と発信力が強み」
株式会社宝島社は3月3日、ファッションEC「ZOZOTOWN」に公式ショップ「宝島社STORE」を開設するにあたり、新アパレルブランド事業の立ち上げに関する記者発表会を開催した。
ファッション雑誌販売部数トップシェアの宝島社は、2026年3月4日(水)12時(正午)より、「ZOZOTOWN」に公式ショップ「宝島社STORE」をオープンする。アパレルブランドを自社で本格展開するのは創業以来初の取り組みとなる。
今回の出店では、宝島社が発行する人気ファッション誌『smart』『SPRiNG』の世界観をもとにした2ブランドに加え、社内公募から誕生した2ブランドを展開。さらに、雑誌とは異なる形で企画・発売され、累計50万部を突破したヒット商品である疲労回復ウェア「リカバリープロ」を加え、計5ブランドを取り扱う。各誌で培ってきたトレンド分析やスタイリングのノウハウを商品開発に活かし、価格・品質・トレンド性を兼ね備えたアイテムを展開。出版社発ブランドとして、メディアの強みを活かした商品づくりを目指す。
はじめに、宝島社 第2メディアビジネス局 局長の柚木昌之氏が登壇。「今、多様化が進む時代において、もっと多くのブランドがあってもいいのではないかと考えています。ファッションシーンに活力を与える一石を投じることができれば。大成功を目指すというより、小粒でもキラリと光るブランドを立ち上げたい」と参入の理由を語った。また、「編集者から自分たちの雑誌、あるいはブランドを立ち上げたいという声が上がったことも後押しになった」と経緯を説明した。
他ブランドとの差別化については、「出版社ならではの編集力と発信力が強み。これまで数多くの商品を手がけてきた知見を活かし、トータルでの見せ方にもこだわる。撮影や文章といったクリエイティブ面で力を発揮していきたい。さらに、芸能人やモデル、インフルエンサーの協力も得ながらプロジェクトを進めていく」と意気込みを示した。
初回ローンチの平均単価は7,000~8,000円程度を想定し、初年度は約2.5億円の売上を見込む。「初年度は利益追求よりも認知度向上を優先する。オープン初日限定で1,000円クーポン配布と10%オフセールを実施する」と説明した。
続いて、各編集長がブランドを紹介した。「DAWNCE」(ダウンス)は、メンズファッション誌『smart』がプロデュースするユニセックスブランドだ。smart編集長の鈴木香奈子氏は、「動きやすさと、着ていて心地よく過ごせることにこだわった。生地はもちろん、きれいめのスラックスもウエストをゴム仕様にするなど、幅広い方に着用いただけるデザインにしている」と説明。デザインの裏テーマについては、「smartに登場するスターたちのオフスタイル。YouTubeや空港ファッションのように、リラックスしているのにどこか格好よく映えるスタイルを目指した」と語った。
「Obis&」(オビス アンド)は、創刊30周年を迎えた『SPRiNG』がプロデュースするレディースブランド。SPRiNG編集長の丸山摩紗氏は、「30年間女性と向き合う中で、どんなライフスタイルの女性も忙しく、服選びに時間をかけられない場面があると感じてきた。さっと着るだけで体型カバーができ、オフィスにも対応できる服を作りたいと考えた」と説明。「少しコンサバティブに見えつつ、友人とのディナーにも着ていける。気負いすぎないアイテムを意識している。トレンドに流されすぎず、それでいて今らしい、シンプルながら少し洒落感のあるデザインがテーマ」と語った。
同じく社内公募から生まれた、「COLOREME」(カラミー)は、身長160cm以下の女性向けブランド。mini編集長の見澤夢美氏は、「宝島社は“青文字系”と呼ばれるカジュアル誌を多く発行してきた背景があり、社内にもカジュアル派が多い。生粋のカジュアル派メンバーで立ち上げたブランド」と説明。160cm以下向けというコンセプトについては、「偶然集まったメンバーが全員160cm以下だったことがきっかけ。丈感に悩む層に向け、思い切ってターゲットを明確にした」と語った。また、「着回しやすさもコンセプトの一つ。比較的カラフルなアイテムが多い点も特徴で、それがブランド名にもつながっている」と述べた。
4ブランドの説明後、今後の展開について問われた柚木氏は、「まずはZOZOTOWNで成功させることが重要。その後の展開は状況を見ながら検討していきたい」と回答。「壮大な構想はあるが、規模拡大ありきではなく、ブランドの輝きを失わない展開を目指したい」と語った。
年間のリリース予定については、「3月のローンチ後、5月にも新作を予定している。毎月少しずつ商品を投入し、年間を通して継続的に展開していくイメージ」と説明し、会見を締めくくった。実績あるファッション誌を擁する出版社ならではの知見を活かし、堅実に市場開拓を目指す姿勢が印象的な発表会となった。