【漫画】誰にも近寄らない男の子の本心は? 「ヤマアラシのジレンマ」を下敷きにした読切が青春でエモい
人と人とが仲良くなるためには、傷つけられた時にそのことをどう受け入れるのかが大切になってくるのかもしれない。Xに投稿された『嵐君のジレンマ』は、2人の男女の距離感の揺らぎを描いた作品だ。
人との距離について考えたくなる本作の作者・笹川風磨さん(@dogdoggerdoggst)に、どのように制作したのかなど話を聞いた。(望月悠木)
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きっかけはボカロ
――ヤマアラシであることを隠しながら生活している男の子がメインの物語でしたね。
笹川:ボカロPのNoz.さんが手掛けた楽曲『ヘッジホッグ』を聞いて、題材を決めました。音楽から着想を得ることは多いです。
――ストーリーはどのように決めていきましたか?
笹川:「ヤマアラシのジレンマ」の話をなぞりながら、ストーリーを組み立てました。「人だったら相手を傷つけないために遠ざける対応をしたりするのではないか?」など、いろいろ考えを巡らせて、肉付けしていった感じです。
――2人の境遇が重なりながら進行していくストーリーが印象的でした。
笹川:人間は、ヤマアラシのように相手に近づく際にトゲを閉じる器用さを持っていません。その代わりに、「同じ痛みを共有できることが愛情の深さだ」と思っている人も多いため、2人の境遇を重ねる展開を加えました。また、「2人をただの加害者と被害者という関係にしたくなかった」というのもありますね。
――ちなみに、嵐山に接触しようとしたことにより、和花は腕に重度の怪我を負います。入院レベルの怪我にさせた背景は?
笹川:状況が悪いほど、関係を修復する覚悟と、その後の展開が花開くと思ったからです。2人の歩み寄りにより、ドラマチックな印象をより読者に持ってもらえるように意識していたのかもしれません。
――和花はどのように作り上げましたか?
笹川:私の中で、元気、もしくは空元気系の女性キャラはショートヘアのイメージがあり、和花も例に漏れず、という感じです。
――一方、嵐山は?
笹川:「人の肌に触れると変身する」という設定なので、「これまでに他者を傷つけることが多かったのでは?」と考え、“人を遠ざけようと振る舞うキャラ”をイメージしました。もともと獣人キャラを描くのが好きで、デザインは割と早く決まりましたね。
――2人の距離感が、時には徐々に近づき、時には一気に近づく様子が微笑ましかったです。
笹川:和花は怪我をした段階で嵐山を拒絶することもできました。ただ、自分も義理の弟を傷つけた経験があることから、「ここは受け入れて許す」という流れにしました。
――今後の漫画制作の目標を教えてください。
笹川:今後も出版社への投稿とSNSでの投稿を並行していければなと思っています。大ヒットはせずとも、読んでくれた人から愛される漫画を描きたいです。あと、「このマンガがすごい!」(宝島社)の20位以内に入りたいな、とは頭の片隅で考えています。